「宇宙体験をすると、前と同じ人間ではあり得ない」と語ったのは米国のアポロ計画のラッセル・シュワイカート飛行士。仏教のお坊さんが悟りを開くのと同じような体験を多くの宇宙飛行士がするらしい▼宇宙から見た地球は無音の闇に浮かぶ青く美しい星。「この眺めの清らかさと壮麗さ」「偶然の産物にしてはあまりに美しい」「私たち地球人はみな同じ船で旅している」-。幾人もの飛行士たちの言葉には似た響きがある▼地球を「まるで意識を持った存在」と表現したのは、野口聡一さんだ。たくさんの写真を宇宙からコメントと一緒に送信し、一部を写真集として出版している。その野口さん、3度目の宇宙に日本時間の15日朝、飛び立つ▼米企業スペースXの宇宙船クルードラゴンで国際宇宙ステーションに行き、半年間、滞在する予定だ。人工多能性幹細胞(iPS細胞)を使った実験などを行うほか、東日本大震災10年の被災地に向けたメッセージも送ってくれるそうだ▼野口さんは55歳。先月、オンラインで文部科学大臣と会談した野口さんは「経験でごまかして若い世代と張り合いたい」と冗談めかして語っていた。子どもたちには夢を与え、中高年世代には勇気をくれそうな挑戦だ。元気に帰還して、また興味深い宇宙の話を。(2020.11.13)