旧知の社会保険労務士に請われ、宮城県内の行政機関に勤める50代女性非常勤職員を取材した。

 衆人を前にした強い叱責(しっせき)や暴言、不手際の吹聴、仲間外し―。女性は2年余にわたり、先輩の職員らから繰り返しパワーハラスメントを受けたという。職場が替わった昨春以降も不安や恐怖を感じ、心的外傷後ストレス障害(PTSD)と診断された。

 社労士によると、当の組織が事実関係を調べた形跡はない。上司らに相談しても、職場の環境は改善されなかった。関係者は問題の解決を先送りし、組織防衛に走ったと思えてならない。

 初対面の記者を前に、女性は口を開くたびに声を震わせ、目頭を拭った。「私のような目に遭う人をなくしてほしい」とも言った。

 なぜ、女性はここまで追い詰められたのか。事の本質を見定め、禍根を断つ必要がある。悲憤の涙に込めた訴えを、むげにできない。
(報道部・肘井大祐)