マスクが買えない。新型コロナウイルスの感染拡大で、わが家の在庫も尽きかけていた先日。「あった!」。押し入れの奥に、何と箱入りマスクが眠っていた。

 そういえば、と家族。9年前の東京電力福島第1原発事故後、放射性物質対策として買っていたそうだ。思わぬ掘り出し物を喜びつつ、ウイルスと放射能、目に見えない二つのリスクが重なった。

 3月下旬に実施した原発に関する世論調査に関わった。新型コロナの世界的影響下での調査。今、人々が身に迫るリスクと感じるのは新型コロナだろう。一方、原発が時に制御不能の脅威となることも、9年前に私たちは学んだ。二つのリスクはどう作用し合うのか。趣旨はぶれても質問を設けるべきだったか、と思い返している。

 確かなのはウイルスも原発も、地震や津波や豪雨も、リスクは常に存在する。そして眠っていたマスクのように、備えはいつか役に立つ。
(報道部・村上浩康)