「シチュー、食べてもいいの?感染しない?」

 夕飯時、5歳の息子が聞いてきた。新型コロナウイルスの「市中」感染と「シチュー」。「お食事券」と「汚職事件」が頭に浮かび、複雑な気持ちになった。

 宮城県で休校措置が始まって約2カ月。子どもも子どもなりに、不安な日々を過ごしている。

 大人の悩みも深い。新聞の見出しは「緊急事態宣言」「コロナ不況」…。明るい話題がない。

 閉塞(へいそく)感は、時に人の心をゆがませる。治療の最前線で奮闘する医療従事者に対し、心ない言動が横行しているという。

 9年前、東日本大震災の直後も根拠のないデマが飛んだ。東京電力福島第1原発事故の被災地、被災者への偏見は今なお残る。

 不安から生じる差別はウイルスと同じくらい感染力が強く、恐ろしい。思い巡らせているうちに、目の前のシチューはすっかり冷めていた。
(報道部・土屋聡史)