インターネットを中心に「アフターコロナ」や「withコロナ」と題した言説を目にするようになった。新型ウイルス感染拡大を契機としてポジティブに「社会変革」を志向する内容だ。

 頭では理解するが「そう簡単にいくかな」と懐疑も抱く。東日本大震災後に高まった脱原発論、それでも進められた原発再稼働の流れを思い浮かべるからだ。

 不安や閉塞(へいそく)感から変化を求めた先に、むしろ「危うさ」はないか。未来を冷静に見極めたい。「みんな頭の中がコロナ一色。張り詰めた空気に戦争中を思い出す」。取材した80代男性のつぶやきが不気味に響く。

 もやもやした気分の家路。初めて居酒屋でテークアウトすると、焼き鳥2本とおむすびをサービスされた。がらんとした店内で不安げに働いていた店主夫妻に感謝し、頬張る。大変な時に人の優しさが身に染みるのは、これからも変わらない。
(報道部・東野滋)