ブラウン管テレビ、10年以上前のカレンダー、社会問題となったピンクチラシ。かつての居室に散らばったごみが、過ぎた時間の長さを物語っていた。

 建て替えを前提にした解体が決まった仙台市青葉区のホテル木町に先日、関係者と入った。ホテル廃業後の約20年間、設備は改修されず、反社会的勢力の関係者が出入りしているとのうわさもあった。近隣住民からは気味悪がられ、長年、避けられていた。

 なんとかしようと立ち上がったのは近隣の所有者の有志。権利関係が判然としない中、協力して所有者を捜し、多くの同意を取り付けた。地道な作業だったという。

 有志の仕事はまだ残る。ごみの始末、建て替えの内容の調整、費用の調達と、事業完結までの道は険しい。「誰かがやらなくちゃ、何年もこのままだから」。有志の力強い言葉に、地域への責任がにじんだ。頭が下がる思いだった。
(報道部・柴崎吉敬)