母親の遺体を自宅に数日放置したとして、死体遺棄罪に問われた無職の男性被告(61)の初公判が今月、仙台地裁であった。被告人質問で男性は「親族に責められるのが怖かった」と述べたという。

 逮捕時、複数の記者が周辺を何軒取材しても、親子の暮らしぶりはうかがい知れなかった。近隣住民からは「同居していたと聞いたことがない」との声が聞かれた。

 「地域で孤立するお年寄りや中高年が増えている」。仙台市内の地域包括支援センターで所長を務める女性(57)の指摘だ。

 安否が気遣われる高齢者を訪ねても、家族にも会えず門前払いされるケースが珍しくないという。「助けてあげたくても、何もできない」。女性は力なく語った。

 近年にわかに増えた同種の事件は、今の社会のありように警鐘を鳴らしていると思えてならない。薄れゆく地縁や血縁を結び直し、閉ざされた扉を開く鍵を探し出したい。
(報道部・肘井大祐)