「はい、新聞」。パジャマ姿の息子が私に新聞を渡す。ドアポストから朝刊を取ってくるのが息子の日課だ。読み始めると、息子が割って入る。「今夜はテレビ、何ある?」「この漢字、何て読むの?」。新聞で親子の会話が弾む。だが登校まで時間がない。私は時計をにらみながら「こんなやりとりができるのも今だけ」と自分に言い聞かせ、この数分を楽しむ。
 5月25日朝刊宮城版「筆甫(ひっぽ)の再生 買い物から」の見出しで、へそ大根を思い出した。宮城県丸森町筆甫地区に、住民が出資した共同店舗が開店したという記事。店では、へそ大根など地元の特産物や日用品を販売しているという。
 驚いたのは地区の高齢比率で、51.56%。買い物が大変だろうと思った。しかし、8月には移動販売を始め、困りごとの相談にも応じると書かれており、安心した。買い物に訪れたお客さんの「筆甫がにぎやかになるといい」のコメントに、私も行ってみたいと思った。地域住民だけでなく、興味を持った方が足を運べるよう、住所を掲載してほしい。

 4日後の29日朝刊社会面の記事中の「ぜひ定期的にお越しください」のコメントを読んだ時は、献血カードの「次の献血可能日」をチェックした。「DJ献血マン」こと宮城県赤十字血液センター職員、熊谷永遠さんの活躍ぶりが写真と共に掲載されていた。献血ルームでの献血きっかけの1位は「呼び掛けの人の声」というから、責任重大だ。時事ネタや地元ネタを駆使したトークと呼び掛けを聞きに、献血へ行こうと思った。
 出来事や人物の紹介が地域応援に結び付く、二つの記事である。
 一方、31日朝刊4面の「『パパよりママ』批判噴出」には、私が代表理事を務めるファザーリング・ジャパン東北内でも、さまざまな意見が飛び交った。自民党の萩生田光一幹事長代行の発言による一連の騒動が分かりやすくまとめられていた。賛成意見、反対意見、出産や育児を巡るこれまでの主な政治家発言。私たちの団体本体の安藤哲也代表理事のコメント「財源を確保して対策を講じてほしい」にもうなずいた。
 私は息子が3歳になるまで、何かにつけて「ママなんだから」と、子育て=母親の仕事と言われるのが苦痛だった。子育ての大半は父親もできる。記事にもあったが、フランスでは性別による役割分担を限定しないようにしているという。ぜひ各世代の方に向けて「今の子育て」「地域での子どもを交えた取り組み」「世界の子育て」などを紙面で紹介してほしい。

 再びユヅファンの歓声が聞こえてきそうな記事が出た。6月1日夕刊1面に「羽生選手 国民栄誉賞決定」、翌2日朝刊宮城版には「おめでとう 笑顔の輪」。羽生結弦選手のモニュメント前で記念撮影する女性の写真からも、喜びがにじみ出ている。社会面には宮城県で活躍するスポーツ選手、東北各県市民からのメッセージ。同じ東北人として誇りに思うと同時に、「まだできることが、ある」と奮起させてくれた記事だった。