6月12日は宮城県沖地震から40年。14日は岩手・宮城内陸地震から10年。6月は防災に関係するトピックが多い。歳月を経て課題が改めて浮き彫りになる。
 10日朝刊の社説では、6・14から10年の風化は著しく、3・11の津波被害によって脇に押しやられた感があると指摘した。14日には「地域再生へ 今なお模索」の見出しで、同地震から10年の歩みを振り返る特集が組まれた。観光再生に向け、栗駒山麓ジオパークを活用して滞在客増加を図る計画を取り上げた。
 また、国内最大規模の地滑りが発生したメカニズムを、ガイドが実験を交えて説明していることを紹介。ジオパークが防災教育の場として風化防止の一助となっていることが分かる。筆者は防災士として、防災をテーマとしたサイエンスショー「防災エンスショー」の講師をしている。このような実演的手法は防災に対する興味・関心を高め、理解を深めるのに有効だと実感している。

 さらに翌15日朝刊みやぎ版に「亡き人への思いずっと」、社会面に「消えぬ悲しみ 詰まる言葉」が載り、16日からは「あの日と歩む」連載(社会面で21日まで5回)と6・14関連記事が続いた。10年の節目に当たり、地域活力が低下する中でにぎわいを取り戻そうとする姿を取り上げた。本紙から被災地域への応援コールとみた。
 地域が頑張る姿をしっかり捉えており、日頃から記者たちが地域の人たちとの接触を重ねてきたからこその記事だと感じた。
 東日本大震災の月命日である11日の朝刊には毎月「むすび塾」が掲載されている。むすび塾は巡回ワークショップ。紙面を通じて備えを「呼び掛ける」だけではなく、地域に出向いて震災を振り返り、防災を語り合おうと「働き掛ける」画期的な取り組みだ。震災前の防災報道の反省から生まれたという。通算78回目。今月は11日が休刊日なので、前日の10日に、南海トラフ巨大地震を想定して静岡市で開催した塾の様子が載った。
 震災の津波を経験した語り部3人が出向き、経験を伝えている。車での避難の是非や要援護者への支援の在り方など、地域に即した避難について議論されたようだ。むすび塾の取り組みは、毎月、確実に震災の教訓の伝承を広げている。今後も、自然災害で大きな被害が想定される地域の一人でも多くの人たちに、減災につながる経験や知恵を伝え続けてほしい。本紙読者の共通した願いだと思う。

 18日朝に大阪府北部で震度6弱の地震が発生した。本紙はいち早く号外を出した。夕刊では、ブロック塀が倒壊し女児が下敷きになって死亡した小学校の現場写真を掲載した。宮城県沖地震と同じ犠牲が再び起きた。40年を経て、当時大きな問題となったことが風化していたのは否めない。大阪北部地震発生前に掲載された本紙の6・12関連記事でも、「ブロック塀」の文字は目立たない。
 それぞれの被災経験から、全国へ伝え続けるべき事柄を風化させない、不断の取り組みが必要だ。