今年は災害が多い年である。
 台風21号に続き、9月から10月にかけては台風24号が猛威を振るった。9月の北海道地震では「ブラックアウト」という聞き慣れない言葉と共に、道民は全域で停電を余儀なくされた。静岡でも台風による停電が長引いた。東日本大震災時に暗闇の日々が続いたことを思い起こした。
 私たちが享受している文明の発達による社会インフラの一部が崩壊した際に、起こり得る衝撃の大きさを改めて思い知らされた。
 筆者は鉄道・旅行・ホテル・観光の各事業に従事してきた。いずれも社会経済環境に影響されやすく、災害や気象変動による変化がビジネスに直結することを幾度となく体験してきた。
 通勤・通学や観光のお客さまにとっても、気象予報や災害予測は本人の行動を考える判断材料になる。交通機関を軸にしてビジネスモデルを構築している旅行事業、ホテル・旅館の宿泊事業、観光事業はお客さまの安全・安心を第一に考え、快適に過ごしていただく重要な使命を担っている。

 9月7日社説「北海道で震度7/電力インフラの脆弱(ぜいじゃく)さ露呈」を興味深く読み、考えさせられた。 社説は言う。「地震や台風などの自然災害は人知を超えるとつくづく思い知らされる。(中略)物理学者の寺田寅彦がかつて書いている。『文明が進むほど天災による損害の程度も累進する傾向があるという事実を十分に自覚して、そして平生からそれに対する防御策を講じなければならない』」と。
 今回の台風や地震は、関西空港や千歳空港を機能不全にし乗客を空港内に足止めし、急増する訪日外国人観光客にタイムリーに情報が行き届いていない実態をも浮き彫りにした。東京五輪がある2020年には訪日外国人観光客4000万人時代を迎える。観光事業に携わる一人として、この社説の重みを考えずにはいられない。
 機能不全に陥った関空の課題を取り上げた9月6日朝刊2面「関空 海上の弱さ露呈」の中で、航空評論家青木謙知氏は「想定外は常に起こり得る。どこまでを現実的な予測値に設定するか議論が必要」と警鐘を鳴らした。このコメントも明治・大正・昭和を生きた物理学者同様、今日だからこそ重みがある。
 災害が多発する昨今、自分たちのできることから取り組まなければならない。そう、気持ちを新たにさせられた。
 新聞紙面は文字の連続、文章から成る。視覚で捉える映像媒体より、私たちに思考する時間や議論する時間を与えてくれる。読者に対して記事で正確に事象を伝えるだけでなく、問題提起を的確に表現する役目があることを、社説と記事は教えてくれた。「想定外」がたびたび発生する今こそ、紙面が持つ重みに期待してやまない。