10月15日から21日まで「新聞週間」だった。
 その予告として「信頼伝え 安心届ける」の見出しで、10日朝刊4面に「新聞の役割 3氏に聞く」が掲載された。サッカー日本代表監督の森保一さん、モデル・作家の押切もえさん、中学生作家の鈴木るりかさんが、それぞれの立場から新聞との関わりやその思いを語り読者の関心を引き寄せた。
 15日朝刊では、新聞大会の仙台開催を記念し開かれたフォーラム「ことばと脳のおいしい関係」の詳細が「スマホ依存 活字で脱却」として報じられた。東北大加齢医学研究所所長の川島隆太さんが「スマホが学力を破壊する」をテーマに基調講演。これを受け、NIE教育コンサルタントの渡辺裕子さんらパネリストと、活字でスマホ依存から脱却できるのではないかと熱心な討論が行われた。
 さらに、17日朝刊1面で新聞週間の中心行事、日本新聞協会主催の新聞大会の模様が伝えられた。会場には宮城県内の8大学・高校4校から計300人が招待されたという。この一連の報道は活字・新聞離れが指摘される現状に、一石を投じる内容となった。

 筆者は、大学教職課程で小学校教員養成(社会科教育)に携わっている。現在の学習指導要領には新聞の活用が明記され、各教科での活用が推奨されている。小学校教員を目指す学生には、進んで新聞を読んでほしいと考えており、毎回講義内容に結び付けた記事を活用している。新聞から得る社会情勢や歴史、さらには喫緊の教育課題といったトピックは、今や講義には欠かせない教材である。
 17日朝刊の新聞大会特集で目がとまったのは、国立情報学研究所社会共有知研究センター長・教授の新井紀子氏の記念講演「AI時代に求められる読解力」だ。
 新井氏は2011年にAI(人工知能)に試験問題を解かせる「ロボットは東大に入れるか」プロジェクトを始めた。また、文章を理解することができないAIに、どうして中学生が負けるのかという疑問から、教科書が読めていないのではないかという仮説を立て実験した。推論、イメージから導く分類、具体例を理解することはAIには絶対できない部分だが、そこが人間も弱いと指摘する。
 急速に発展するAI時代に「公教育 教科書原点に」というメッセージは、読者にとっても大きな問題提起となったに違いない。
 今、人間の仕事がAIに奪われるという危機感や不安が社会全体にある。一方で、これからのキーワードとなるのは、連日の新聞週間関連記事で伝えられた「ことばを大切にする活動」「対話」「読解力」ではないのか、と深く考えさせられた。
 AI時代を生き抜くために、新聞だからこそできる情報発信が望まれる。