今年の夏の甲子園で旋風を巻き起こした金足農高(秋田)。東北を大いに元気づけた。その金足農の記事が11月4日朝刊に載った。「金農パンケーキ いまや定番/企業と連携し開発」とある。2012年から大手コンビニと共同開発、地元食材を活用したパンケーキを販売しているという。
 この記事は「高校生のシゴト力 地域を売り出せ」と銘打ち、本紙を含む東北・新潟8新聞社の共同企画として、次世代を担う高校生の活動にスポットを当て、8回続きで掲載されている。

 初回(10月7日)は、宮古商(岩手)の物産販売会「宮商デパート」だった。03年から、全生徒が株主の模擬株式会社を設立し企画や仕入れ、販売を行い、商売の流れを体験する。担当の先生によると、変化を掲げ柔軟な発想を促すことが、体験型の学習を通じて授業での学びを深めているという。
 続いて、農産物に関する国際規格グローバルGAP(ギャップ)認証を取得した五所川原農林(青森)の生徒が、蓄積したノウハウを生かしGAP認証取得を目指す農業者を指導する「高校生コンサルタント」、特産の紅大豆を使い加工食品開発に挑む置賜農(山形)「豆ガールズ」も紹介された。
 直近の11月11日は、発光ダイオード(LED)照明を使った野菜栽培の研究に取り組む筆者の母校・福島工だった。野菜の最適な成長につながる照射装置を地元工場の協力を受けながら製作、改良し、農業高校である福島明成と連携して、天候に左右されない野菜の安定栽培と販売を目指すという。
 これらの記事に共通するのは、高校生が地域と一体になり、実践や技術の習得を通じて国際化を肌で感じ、自分たちが住んでいる地域の価値に気付き、連携して新しいことにチャレンジしている様子が見て取れることだ。

 東北観光推進機構は、東北における観光振興の若手人材を育成する「フェニックス塾」を16年に立ち上げた。観光の語源は中国古典「易経」にある「国の光を観(み)る」にある。国・地域の優れたものを直視し、輝かせるという前向きな意味だ。私たちの郷土・東北全体を俯瞰(ふかん)し観光振興策を企画立案する構想力と、それらを実践する行動力を持った担い手を育てることと、東北に若手の観光人材100人のネットワークを構築することを目的として取り組んでいる。
 人口減少社会の到来により、東北にとって地域振興が喫緊の重要なテーマであることを考えれば、教諭や企業、専門家らが支援し、地域の課題に高校生たちが力を発揮する様子を伝える、今回の企画は大きな意義を持つ。
 若い感性や発想力から生み出されるビジネスアイデアが、明日を担う高校生によって具現化する。そうした事例を広く紹介していくことを本紙に改めて期待したい。
 企画を今回限りとせず、地元紙が連携し今後も発信を続けることで、高校生のネットワークづくりの一助になることを願う。それを果たすことが、地元紙の大切な役割であると確信する。