3.11が近づく。2月22日朝刊社会面が「北海道で震度6弱」の見出しで伝えたのは、マグニチュード5.8の地震発生である。被災地の方々には心からお見舞いを申し上げる。発災時刻から、わずか7~8時間で紙面が作られ新聞が届く。昼夜を問わず報道に携わる方々の努力を感じた一瞬だ。

 8年前の震災時にも言われたことだが、非常時こそ「新聞、活字を読みたい」という思いは強くなる。幸い、今回は電力の停止もなく、普段通りの情報提供を続けることで被災地の方々も勇気づけられることだろう。命を守るために逐次の情報提供と、参考となる有益な情報を盛り込める新聞の役割が期待される。

 一方で、また悲劇が起きた。ノートに書いた「もうおねがい ゆるして」の言葉とともに痛恨の思いが消えない、昨年6月に東京都目黒区で5歳の女児が虐待死した事件から半年。今度は千葉県野田市で小学4年女児が犠牲となった。繰り返されるこうした悲劇から、私たちは何を学ばなければならないのだろうか。

 2月8日夕刊1面は「全ての児童虐待 緊急点検」の見出しで、首相が関係閣僚会議で「根絶に総力」と述べたことを伝えた。子どもの命を守ることを最優先としなければならないという決意は、私たち一人一人の心に刻まれるべきである。9日夕刊3面では「虐待相談5年で倍増-福祉司の数追い付かず」と児童相談所の膨らむ負担について報告がされた。暴力を受け、辞める職員もいるという現実は問題の根深さを示す。悲しい犠牲を繰り返さないためにも関係機関の一層の連携が望まれる。

 野田市の事件では、学校アンケートの取り扱いを巡っても、その対応が問題視された。2日朝刊社会面で女児が書いたアンケートの記述が公開された記事には、驚きを隠せなかった。父親に暴力を受けていることを訴えた最後に「先生、どうにかできませんか」と問い掛ける。この命に応える資質能力はどう育成されるべきなのだろうか。

 筆者は大学で社会科教育法を専門に教えており、小学校教育現場での教育相談について講義する「教育相談の理論と方法」も担当している。いじめ、不登校、学級崩壊などの教育現場の現状についてテキストや新聞などの資料を提示し、学生が共に考える場を設けている。教育相談は教員にとって不可欠のスキルとなっている。

 11日朝刊1面では、宮城教育大が「いのち守る教員」養成を開始するため、教育研修機構を発足させることを報じた。2011年の東日本大震災以降、学校の安全については議論が続いている。その中でも、どこにいても起こり得る災害に対応できるよう、防災関連科目の再編を進めるという。これからの教育を担う教員には、子どもたちの「命を守る」自覚と訓練とが求められることだろう。

 大学や関係機関で実施している「命を守る」取り組みやその効果についても発信し、共有できる環境づくりに努めてほしい。