今年は4月に統一地方選、7月に参院選と続く「選挙イヤー」である。先月末、統一地方選の前半戦、青森、秋田、山形の県議選が告示され、今月上旬に投開票が行われた。期間中、各県議選に関する記事が、朝刊ワイド東北面を中心に毎日のように紙面を飾った。

 一般的に選挙期間中に掲載される記事の多くは情勢を伝えるものである。ワイド東北面で2日から3回にわたって連載された「注目区見聞録 東北・3県議選ルポ」がそうだろう。

 しかし、そればかりではない。有権者に気付きを促す記事もある。例えば、5日の社説「増える無投票当選」が該当する。衆院選の制度改革の結果、県議のなり手を発掘する自民党国会議員の力が失われたことに加え、野党の人材枯渇も要因と、興味深い指摘をしている。

 4日ワイド東北面の「青森 秋田 山形130投票所減」も、期日前投票率の上昇がかえって投票所減少の理由になっている、ということに気付かせてくれた。同時にこの記事は投票所減の代替措置として、有権者ならどこでも投票できる共通投票所を導入する自治体や、巡回バスやタクシーで投票所までの移動を支援する自治体があることを教えてくれた。

 ところで、候補者は選挙戦で自分の訴えたいものだけを語ろうとし、触れたくないものには黙する傾向があることが分かっている。そのため、報道機関は各候補者の主張の違いを比較しやすい報道をする必要がある。

 3日ワイド東北面の「奥羽新幹線実現・山形県の推進運動 6割『成果上がらず』」は、JR奥羽線沿線11選挙区の32候補に対するアンケートを基にした記事である。沿線の一体感がいまひとつであり、負の側面に関する議論が不足していることを指摘した。地域課題を明らかにしている点で非常に評価できる。

 ただ、投票先を判断する情報提供という前述の観点に立つと、候補者それぞれの考えは分からず物足りないと言わざるを得ない。候補者アンケートの報道の仕方については、今後検討してほしい。

 インターネット選挙運動の解禁もあり、候補者本人も含め、個人がネット上で選挙情勢を伝えることが容易になった。しかし、有権者が気付かない論点を提示したり、候補者アンケートを実施したりすることは報道機関でなければ難しい。「河北新報だからこそ報道できることは何か」を重視した選挙記事を今後、次々と掲載することを望んでいる。

 また、紙面に掲載できなかったアンケート結果をウェブに載せるなど、新しい試みも今後検討していただければと思う。

[かわむら・かずのり氏]1971年、静岡県焼津市生まれ。慶応大大学院博士課程単位取得。慶応大専任講師(有期)、金沢大助教授を経て、現職。専攻は政治学。近著に「被災地選挙の諸相 現職落選ドミノの衝撃から2016年参議院選挙まで」(共著)など。仙台市若林区在住。