平成最後の年がスタートして4カ月。あす、新元号「令和」の時代に入る。東日本大震災発生から8年が経過した。本紙は毎年、新年から4月ごろにかけて特集を組むなどして、被災地の復興状況が詳しく分かる紙面になっている。
 印象的だったのは3月9日朝刊みやぎ面の「『復興の未来』ステッチ」だ。デンマークの伝統刺しゅう「クロスステッチ」の製作指導を受けている東松島市のグループが独立運営に踏み切った。単発の報道でなく、2014年のグループ発足から自立するまでをフォローしたことを評価したい。ただ、グループへの地元の声が欲しかった。
 仕事柄、目に留まるのが被災地の伝統文化やものづくりの「手仕事」「食」に関する記事だ。今月21日朝刊「声の交差点」に福岡市の女性が「手芸で被災地に心寄せ」を投稿していた。震災後、被災地の女性たちに手仕事をというプロジェクトが多数立ち上がった。投稿を読み、改めて現在の活動状況を伝える記事が少なくなっていることを感じた。
 被災地に心を寄せ、応援してくれる方々がいるからこそ、手仕事をしながらコミュニティーも生まれ、生きがいや希望も持てた。前述の「東松島ステッチガールズ」のほか、「大槌復興刺し子」や「気仙沼ニッティング」などは自立し企業から商品製作を委託されるまでに活動を広げた。東北ならではの手仕事を細やかに伝え続けていく役割が地方紙にはあるのではないか。

 18日朝刊1面に「地域おこし隊 東北浸透」、ワイド東北面には久慈市山形町の「シラカバ林で町おこし」があった。都市部から東北に移住して地域活性化に取り組む地域おこし協力隊員が増えていることに併せ、国内最大のシラカバ群落に着目して交流人口拡大や若者の働く場所を生み出したいと活動している事例を伝えた。移住者がもたらす活力、地元住民独自の活動、併せて掲載されたことでとても興味を引かれた。
 ワイド東北面には「米織着物 小粋に一杯」と、国の登録有形文化財に指定されている米沢市の飲食施設「上杉伯爵邸」で着付け体験ができるカフェ開店の記事もあった。「米織」がどういうものかが分かる、例えば実際に着物をまとっている写真があれば、より伝統文化やものづくりの視点が読者に伝わったと思う。
 新元号の「令和」については20日朝刊2面に「日本の文化、伝統に目を向ける一つのきっかけになる」と国書からの案を有識者懇談会全員が希望したとあった。現在、情報は手軽に取れる。しかし、日本文化に関わることは五感を使って感じ取ることが必要だろう。紙の触感、インクの匂いなどを含め五感をフルに刺激する新聞の記事にはこれからも期待したい。

[たなか・しづ氏] 1967年、鶴岡市生まれ。医療短大卒。2013年まで約8年半、宮城県内の食や旅、文化を紹介する月刊誌「りらく」編集長。同年2月から「繋がる結ぶOne Story」ビジネスマッチング・プロデューサー。次世代へ和の心を結びつなぐ「五感で愉しむ和の習い事」waraku主宰。富谷市在住。