10日朝刊1面は「吉野氏ノーベル化学賞」をトップに「旧門脇小 津波と火災の猛威」、そして「関西電力会長の引責辞任」という構成だった。受賞を喜ぶ吉野氏の満面の笑みの陰には賞に至るまで研究開発に投資し続けた企業がある。一方で金品を受け取った果ての関西電力経営陣辞任と極めて対照的。企業の在り方を視覚的に対比する効果が出ていると感じた。

 東日本大震災の遺構である門脇小(石巻市)の写真は、8年半前の津波と火災によるいまの悲惨な状態。片や関西電力は、あまりにお粗末な経営感覚。いまだ復興の道半ばの厳しい現実と、経営を立て直すという別の意味での厳しさを写真と見出しで対比しているかのように感じた。1面全体を見比べて読めるのは新聞ならではの特性と言える。その構成によって読者の読み解き方が深まるとも思う。

 12日朝刊1面で、大川小訴訟は最高裁が石巻市と県の上告を退け遺族勝訴が確定した。社会面の関連記事「命守る対策を」の中で、訴訟経過を時系列の表にしたのは分かりやすかった。社会面、みやぎ面でも遺族の思いを展開しており、本紙が長年取材を重ねてきたことがよく分かる。読み応えがあった。

 社説の「大川小事故が提起した問題は、決して人ごとではない」には共感した。「『わがこと』と受け止め、安全な学校づくりを目指」すため、県や市、学校関係者だけでなく学校の立地等をよく知る地域の視点を入れた議論につながる紙面を期待したい。

 本紙は18日朝刊みやぎ面の宮城県議会議員全員協議会と、19日朝刊3面の石巻市議会議員全員協議会など、大川小訴訟確定後も追い続けている。宮城県、石巻市の動きを含めて今後も取材を積み重ねてほしい。

 毎週木曜日夕刊に掲載のものがたり「妖怪ラボ」を興味深く読んでいる。子どもから大人まで楽しめる物語だと思うからである。新聞を本のようにして、家族が一緒に読んでいるシーンが目に浮かぶ。家族が一緒にわくわくドキドキしながら読む題材が新聞にあってもいいなと思った。

 17日に終了した朝刊7面の投稿、テーマ特集「目玉焼きの問題」はさまざまな目玉焼きがあり、うなずいたり新発見があったりと、身近に感じ、共感した。投稿者の年齢層をもっと広げる工夫は必要と感じるが、一つのテーマを読者間で共有する話題設定は新聞と読者の距離を近づける。

 16日朝刊20、21面に第25回新聞記事コンクールの各賞受賞者作品が掲載されていた。小中高校生の着眼点は鋭く、そして素直で柔軟だ。大人の読者がどのように感じたか聞いてみたくなった。子どもと大人のキャッチボールが紙面でできればいいと思う。