災害が起きたら誰を頼りに命の危険を回避し、何を支えに当面の危機をしのぐか。
 内閣府が昨年11月に実施した「防災に関する世論調査」の結果が先月末発表された。
 災害対応の考え方として、いわゆる自助、共助、公助のどれに重きを置くべきかを尋ねた質問で、自助を挙げる人が約40%に上り、前回4年前の調査から1.8倍と大きく増えた点が注目されている。
 共助重視も約25%と2.3倍に跳ね上がり、逆に公助は約6%にとどまった。自助、共助、公助のバランスをとるべきだとの選択肢は約29%で、4年間で半減した。
 東日本大震災をはじめとして大災害が起きるたびに、わが身を守るよりどころはわが身であり、頼りになるのは地域の助け合いであるという現実を、多くの国民が思い知らされてきた表れだろう。
 東北では自助を挙げる率が約48%と全国一高かった。
 震災などの教訓を伝え合う中で、政府や自治体などが「公助の限界」を訴え、自助、共助の大切さを重点的に広報してきた結果とも言える。
 とりあえずは自然で必要な意識の変化と受け止めていいが、行動や活動が伴ってこその自助、共助であれば、意識のみが上滑りする傾向はないか、注意も必要になる。
 調査では、日頃の備えについて依然、不十分な現状が浮き彫りになっている。
 2016年4月の熊本地震の影響もあり、地震で最も心配なこととして「建物の倒壊」との答えが7割を超えたが、自宅の耐震診断をしていない人は5割を超えている。
 「避難場所を決めている」は4年前から増えたが、それでもまだ4割弱。水や食料、日用品の備蓄、懐中電灯の常備は逆に減り、5割弱にとどまった。犠牲回避に直結する肝心の避難訓練では、参加経験は4割にとどまり、4年前とほとんど同じだった。
 自助、共助が出発点との意識は広まったものの、多くの人たちが必要な備えに踏み込まないまま、災害に無防備な状況にあることが分かる。
 東北では訓練の参加経験率はさらに低く3割程度。家族と災害対応を話し合ったことがある人も5割を割り、全国で最も低かった。復興途上であることなどを差し引いても、備えの意識が緩んでいるのは明らかだ。「自助重視」の実態はそれほど頼りない。
 自助、共助、公助の関係を考える場合は、そうした現状を踏まえるべきで、未熟な自助、共助意識に寄りかかったままの防災・減災の取り組みでは犠牲や混乱は続く。
 政府や自治体は住民の生命、財産を守る責務がある。自己責任を強調するあまり、公助が軽減、軽視されることがあっては本末転倒だろう。
 公助あっての自助、自助あっての共助、共助あっての公助という認識で、連携とバランスを強化する方向性をもう一度確かめ合いたい。