近年の東北経済で異例と言えるほど企業倒産の小康状態が続いている。2000年代初頭、年間1000件を超えていた倒産件数は東日本大震災翌年の12年以降、300件台で推移する。
 現状を楽観視はできない。件数の沈静は、復興特需や政策支援、金融緩和を背景とした金融機関の融資競争といった特殊事情が下支えし、倒産を回避したい企業が踏み切る「休廃業・解散」という負の要因が作用している。東北経済に緩慢な危機が漂う。
 東京商工リサーチ東北支社がまとめた17年の東北の企業倒産状況によると、件数は323件で前年比7.2%減。負債総額は9.9%減の661億5100万円となり、平成以降、最少となった。
 12年12月以降続く国内の景気拡大は昨年12月、「いざなぎ景気」を超える61カ月に達したとみられ、戦後2番目の長さだという。最近の株価急落も、大企業を中心とした国内の実体経済の強さからか悲観論は広がっていない。
 東北の現状と照らし合わせると、違和感は拭えない。
 東北経済を支えた復興特需はピークアウトしたと言われる。災害復旧や災害公営住宅など公共工事は続々と完了。岩手、宮城、福島の被災3県の新年度予算案を見ると、震災や東京電力福島第1原発事故の関連予算は前年度比で3県計3686億円減少した。
 東日本建設業保証が1月に公表した17年度の被災地の建設業景況調査によると、東北の1~3月期は受注総額の減少傾向がさらに強まる見通しだ。融資のハードルが下がる半面、資材価格や賃金の高騰、人手不足の深刻化で立ち往生しかねない状況が続く。
 この流れの中で東北の企業の休廃業・解散は11年以降、累計で1万2000件を超え、倒産件数の約5倍に上る。就業者全体の1割が従事する建設業が3分の1を占め、大型店との競合を強いられる中小零細の専門小売店が継続を断念するケースも多い。東北経済の足元が揺らいでいる。
 官製にも映る異常な経済環境はいずれ終わる。いま、東北の中小零細企業に求められるのは、現状の出口を見据えた持続可能性の追求だろう。
 仙台商工会議所が昨年12月に行った小規模事業者の経営状況調査によると、財務管理の徹底、中長期的経営目標の設定などに取り組む企業は売上高を着実に伸ばしている。
 「幸い」と言うべきだろう。地元金融機関は自らの生き残りを懸け、事業承継や経営支援に関する対応を事業の柱に据え始めた。販路開拓、後継者難に悩む事業者のマッチングなど地域経済の活性化を促す役割に期待したい。
 地元企業の減少は、そのまま地域の衰退に直結する。震災を乗り越えた先、小さくとも豊かな地域経済を循環させる上で企業一つ一つの存在は欠かせない。東北経済は今、正念場にある。