太陽光や風力といった再生可能エネルギーを取り巻く環境が今、曲がり角を迎えている。問題は、再生エネ普及を後押しする仕組みとして、原発事故後の2012年に導入された固定価格買い取り制度の在り方と深く関わる。
 この制度に基づく事業用太陽光発電の買い取り価格が18年度は、1キロワット時当たり18円に決まった。本年度より3円引き下げられ、これで6年連続の下落。当初(40円)の半額以下にまで落ち込む。
 一方で再生エネ全体の発電設備容量は、制度創設前の約2.7倍にも増えている。
 共に急激な、この買い取り価格の下落と市場の拡大が、ひずみを生んでいる。
 制度は、割高な再生エネの買い取りを電力会社に義務づけ、その費用を電気料金に上乗せして、いわば国民負担で普及を促す仕組みだ。
 その負担軽減も狙った買い取り価格引き下げがもたらしたのは発電関連業者の経営難であり、それに伴う再生エネ市場拡大の抑制である。
 急速な市場拡大とともに電気料金の上乗せ額は標準家庭で年間約8200円と、当初の10倍以上に膨らむ。17年度の国民負担は2兆円を超す。
 一方で普及にブレーキをかけ、他方では負担を高止まりさせる。この制度のゆがみを正すキーワードの一つは「発電コスト」。低コストにできれば、発電業者の経営は好転し国民の懐にも優しくなる。
 いかにコストの低減を図るか。官民が知恵を絞る時だ。
 国際再生可能エネルギー機関(IRENA)によると、世界平均で10年時点の太陽光の発電コストが1キロワット時約40円だったのが17年には10円強に下がった。日本の買い取り価格水準はそのほぼ倍であり、日本は世界に大きく後れを取ったと言わざるを得ない。
 原発依存から抜け出すために、再生エネの普及は不可欠だ。さらなる普及へ、国民が一定の負担を分かち合う買い取り制度がまだまだ必要だとしても、国民の理解を得るためには、その負担の抑制に努めなければならない。
 コスト削減を図るため、官民が連携し設備費や工事費の低減につながる技術開発に力を入れるのは、もちろんだ。競争を促す意味では、発電コストが安い新規事業者を優先する入札制度が効果的。太陽光に加え、対象を風力やバイオマスにも広げたい。
 送電網の容量不足に伴う設備増強の必要からもコストは増す。容量の算定には停止中の原発分なども含むという。もっと柔軟に運用できる仕組みに改める必要があろう。
 地球温暖化対策もあり、国は再生エネの割合を30年に今の2倍程度に高める計画だ。実現に向け、制度の見直しを含め政策支援を強めたい。
 地域では、再生エネの地産地消により産業振興・雇用創出を図る動きもある。そうした取り組みに対する政策的配慮も欠かしてはなるまい。