包括連携協定を結ぶ仙台、山形両市のトップが意見を交わし、「仙山生活圏」のイメージを共有した意義は大きい。両市の間で始まっているJR仙山線の機能強化に向けた勉強会や、海外誘客の合同プロモーションに向けた準備にも弾みがつくに違いない。
 「深化する仙山圏 -仙台市・山形市連携協定が目指すもの-」をテーマに先日、仙台市青葉区の河北新報社で開かれた公開講座「第36回仙山カレッジ」である。
 仙台、山形両市は2016年11月、防災、観光、ビジネス支援、交通ネットワークなど多様な分野で手を携え、圏域の活性化を目指す包括連携協定を締結した。
 「市民の行き来が増え、互いの生活をより豊かにしていく流れは加速していて、むしろ行政の取り組みが遅れていた」。山形市の佐藤孝弘市長は、協定締結を呼び掛けた当時の状況をこう説明した。まさに市民の生活実感に則した判断だったと言える。
 佐藤市長によると、協定は有形、無形の変化をもたらしている。仙台との関わりを意識するようになったことで、まちづくりを担う市職員の視点が変わり、市議会でも仙山交流に関する質問が増えているという。
 両市の都市構造の際立った違いが、連携の果実をより豊かにする可能性を秘めていることも確認された。
 両市長とともにパネリストを務めた日銀仙台支店の副島豊支店長によると、人口は宮城県が仙台一極集中型なのに対し、山形県は分散型。経済構造は商業・支店経済が主体の仙台市に対して、山形県はものづくりが盛んで、東北6県で唯一景気が拡大している。卸売業販売額は、仙台をけん引役とする宮城県が7兆円、山形県は1兆円と極めて対照的だという。
 仙台市の郡和子市長は「互いの強みを生かし合いながら補完できる関係」と評価し、両市の結びつきは「東北地方の人口減に向き合う上でも重要」との認識を示した。
 一方、佐藤市長はさらに一歩進んで「通勤通学や企業の連携が当たり前になる『仙山生活圏』を目指す」と言明。圏域としての一体感と利便性を向上させる上で、定時性を確保できる交通手段の重要性を指摘した。
 山形市が昨年2月にまとめた調査によると、仙台-山形間の通勤通学者数は約3000人で、10年前に比べ26%も増えている。生活圏として一体化が進んでいることを端的に物語る数字である。
 仙台、宮城ナンバーの乗用車が毎週末、山形県内各地の温泉や産直施設の駐車場を埋める光景は、既に多くの宮城県民が「仙山ライフ」の楽しさ、豊かさを享受していることを示している。
 両市はこれまで以上に人々と企業の動向を見詰め、新たな連携の形を探っていく必要があろう。