大学入試の受験生に動揺を与える出題ミスがまたも起きた。なぜ防げなかったのか。大学の危機意識が問われる。
 京都大が2月26日の一般入試2次試験で化学の問題文が不適切だったとして試験時間中に二つの問題を削除した。
 京大は、昨年2月の入試で出題ミスがあったことが今年になって見つかり、受験生17人を追加合格にしたばかり。今回は合否に関係しないとはいえ、会場の受験生を混乱させたのは明らかだ。大学側は深刻に受け止めてほしい。
 同じ轍(てつ)は踏むまいとチェック体制を強化して臨んだろう。急きょ削除された2問は氷の結晶構造に関する問題で、教員が当日、実際に解きながら行った点検で判明した。
 化学ではほかに、事前に7カ所、開始後に4カ所の問題文の訂正があった。全員への周知を終えたのは終了30分前だったという。
 「例年より多くの訂正を出したのは残念」という大学側の説明にリスク管理の意識は感じられない。削除された問題に取り掛かっていた受験生も多くいたろう。試験会場のドタバタに集中力をそがれた学生らの困惑が察せられる。
 今回のミスの具体的な内容は明らかにされていないが、ぎりぎりの段階で対応できたから良しとする話ではない。
 なぜ事前に発見できなかったのか。その原因をしっかり解明しなければ、同じ間違いを繰り返すだけだ。
 入試のミスは各大学で毎年のように起きている。受験生の思考力を問い、出題内容が高度化する傾向が強まっているとの指摘もある。
 2020年度に始まる大学入学共通テストでも判断力、表現力などに重点が置かれる。複雑な条件設定の問いが増えれば出題者の意図しない正答が出る可能性が高まる。
 実際、京大の昨年の出題ミスは、物理の問題で条件設定が足りず、正解が一つに定まらなくなっていたケースだった。大学側は謝罪しながらも「オリジナルな問題を作ろうという意欲は表れている」とも発言した。
 そうであればこそ、問題作成に際しては慎重の上にも慎重を期し、チェックに細心の注意を払わねばなるまい。
 昨年の大学入試を巡っては大阪大でも出題ミスがあり、本来合格だった受験生30人を不合格としていたことが判明した。外部から再三の指摘があったのに、対応が遅れたことも問題になった。
 こうしたトラブルが続くと大学全体の信頼が揺らぐ。今回の京大のミスを受け、林芳正文部科学相は「緊張感を持ってほしい」と苦言を呈した。国は解答例の公表など再発防止に向けルール作りに着手する意向だが、それには大学側の意思統一が欠かせない。
 入試は人の将来を左右する。一つのミスが取り返しのつかない事態を招きかねない。大学は危機意識を高めて防止に万全を期してほしい。