旧優生保護法の下、知的障害などを理由に強制不妊手術が繰り返されてきた問題で、超党派の議員連盟がきょう設立総会を開く。
 国への実態調査の働き掛けや、当事者支援の仕組みを検討する、としている。これとは別に自民、公明両党は近くプロジェクトチームを設置する。議員立法を通じた解決策を探るという。
 1996年に旧法が母体保護法に改定され、障害者への差別的表現が削除されて20年余。国会で支援の機運が広がるのは歓迎したいが、遅きに失した感は否めない。
 きっかけは1月末に宮城県内に住む60代女性が、国に対して初めて損害賠償を求める訴訟を仙台地裁に起こしたことだろう。
 女性の提訴を機に、全国の弁護士会などに相談が寄せられている。北海道や東京、宮城では男女3人が後に続く提訴の準備を進めた。手術を行った自治体への資料開示を求める動きも活発化している。
 被害者救済の声が、国会内外で高まっている中、安倍晋三首相は2日の参院予算委員会でこの問題について「関係省庁と協議の上、適切に対応する」と述べた。
 国はこれまで被害者から謝罪と補償を求められても、「当時は合法だった」との根拠を盾に背を向けてきた。国連女子差別撤廃委員会から補償勧告を受けても、過ちに全く向き合ってこなかった。
 裁判の結果を待たず、救済の道に正面から踏み出す最後の機会ではないか。国会の動向を見守るだけでなく、安倍首相は過去の事例に鑑み、政治判断を下すべきだ。
 これまでに解決が図られたケースでは、2001年の「ハンセン病訴訟」がある。隔離政策を認めず国に賠償を命じた一審の熊本地裁判決を受け入れ、国が謝罪と立法による補償を行った。
 一つのモデルになり得るが、難題は多い。補償の前提として国はまず、被害者の把握に向け徹底した実態調査に取り組まねばならない。
 療養所での生活歴が明確なハンセン病患者に対し、本人の同意なしに不妊手術を強いられた被害者の特定は困難とされる。大半は記録が廃棄され、都道府県別の実態把握にばらつきがあるからだ。
 認定を巡っては、宮城県が2月、手術痕や関連文書の提示など4条件を満たせば、県の台帳に氏名がなくても事実認定する独自基準を決めた。
 救済制度を運用する上で、こうした積極的な試みは参考になり得よう。ただ、地域差が生じることがあってはなるまい。最終的には国が統一基準を示す必要がある。
 長年にわたり訴えの声を押し殺してきた被害者らは、高齢化している。残された時間は多くない。
 政府や国会、自治体は負の歴史に真摯(しんし)に向き合い、スピード感を持って救済に取り組んでほしい。