学校法人「森友学園」への国有地売却問題が国会で取り上げられ1年余。新たな疑惑が浮上した。
 財務省近畿財務局が作成した契約当時の決裁文書が昨年2月の問題発覚後に書き換えられた疑いがあると、一部で報道された。
 財務省は6日に調査結果を発表するとしていたが、ふたを開けてみれば、調査とはほど遠い中身だ。
 参院予算委員会理事会で「原本は大阪地検にあり、近畿財務局にはない」と説明。背任や証拠隠滅などの告発を受けた捜査の対象になっていることを盾に、「全ての文書は直ちに確認できない」と報告した。書き換えについての明言は避けた。
 これでは野党が「ゼロ回答」として反発を強めたのも当然ではないか。情報公開に消極的というどころか、隠蔽(いんぺい)体質だと非難されても仕方があるまい。疑惑が指摘されている以上、情報を積極的に開示し、国民への説明責任を果たさなければならない。
 そもそも公開が捜査の支障になるという理屈が納得できない。これまでも幾つかの文書やデータが公開されており、なぜ今回の文書について出し渋るのか。原本がなくともコピーがあるはずだ。不都合な点があると疑われてもやむを得ないだろう。
 麻生太郎財務相は「全省挙げて調査を進めたい」と述べた。今後職員への聞き取りや文書の確認作業を行うという。土地売却の決裁責任者は近畿財務局の管財部次長だと同省が明らかにしている。当事者に確認すれば概要は把握できるのではないか。
 書き換えが事実とすれば、昨年来の国会は虚偽の資料を基に議論してきたことになる。国権の最高機関である国会が軽んじられないよう、野党は国政調査権を行使して、徹底解明してほしい。
 与党の中からも疑問の声が出始めている。自民党の二階俊博幹事長は「どういう理由で資料を出せないのか」などと指摘した。
 にもかかわらず、安倍晋三首相は書き換えについて問われ、「私は全くあずかり知らない」と人ごとのように答えた。疑惑の目が向けられている昭恵夫人の身の潔白を証明するためにも、財務省に森友学園問題の全面的な再調査を指示すべきではないか。
 安倍政権下では、いったん存在が否定された文書が次々見つかっている。加計学園問題では「総理のご意向」と記された文書が文部科学省から見つかり、行政の忖度(そんたく)が議論になった。
 南スーダン国連平和維持活動(PKO)の日報問題や、裁量労働制の不適切データ問題でも、疑惑が発覚した後で「ない」とされていた日報や調査原票が出てきた。
 問われているのは、疑惑に真摯(しんし)に向き合おうとしない安倍政権の姿勢だ。おごり以外の何物でもない。