東日本大震災から11日で7年を迎える中、浜再生のシナリオに狂いが生じている。
 復興計画では集中復興期間(2011~15年度)で、水産関連施設を再建。続く復興・創生期間(16~20年度)で販路を回復し、三陸のなりわい再生を期すとした。
 それもこれも世界三大漁場の一つに数えられる三陸の漁場があってこそだろう。ここに来て続く主力魚種の極端な不漁が、三陸復興の足かせとなりつつある。
 岩手では、水産資源を巡る争いが法廷に持ち込まれる事態にまで発展している。沿岸の被災漁民100人が、県にサケの固定式刺し網漁の許可を求めた集団訴訟だ。
 津波で流失した漁船や漁具を借金で再調達し「漁ができなければ浜が消える」と訴える漁民に対し、県は「許可すれば資源が枯渇する」と主張する。双方に理があり、溝を埋められないまま近く判決が言い渡される。
 そもそも岩手のサケ漁は漁獲量が北海道に次ぐ全国2位で、震災直後から水産復興の鍵を握る魚種とされてきた。
 しかし震災から7年を経ても魚影は戻らず、17年の水揚げは沿岸部で6100トン。実に震災のあった11年(7600トン)にすら及ばない漁獲にとどまった。
 沿岸のサケふ化場は津波で壊滅し、16年の台風10号豪雨で再びダメージを受けた。「育てる漁業」の代表格だったはずのサケ漁は震災以降、悪循環に陥り、復調のきっかけをつかめないでいる。
 サンマ漁も3年連続の不漁に見舞われている。全国さんま棒受網漁業協同組合によると、本州一とされる大船渡の17年水揚げは前年から20%減少。全県漁獲量は1.4万トンで、やはり不漁だった前年からさらに36%も減っている。
 大船渡港湾地区に林立する水産加工業者は、グループ化補助金で冷凍・冷蔵施設の再整備を終え、再稼働にこぎ着けた段階にいる。ようやく販路回復の取り組みを本格化させようという矢先に在庫が底を突くのでは、それこそ想定外だろう。
 加えて事業再生のために受けた公的支援の償還が間もなく始まる。水産関連施設の復旧に投じた資金を無駄にしないためにも、国は返済開始時期の延期を検討してほしい。
 水産業を中心に地域経済が循環する沿岸被災地では、運送や製氷、製缶、小売りと不漁の影響が多方面に及ぶ。仮に今年も水揚げが回復しなければ、廃業や倒産が現実味を帯びることになるのだ。
 不漁の要因には、漁場の変化や魚体の小型化、他国船籍による乱獲が指摘されている。資源量を正しく把握し、漁獲量に国際的な制限を設ける時期ではないだろうか。
 「復興の加速化」を言うのはたやすい。だが、被災した浜では時の経過とともに複合要因が絡み合い、再生の針路を曇らせている。