廃止が決まった高速増殖炉原型炉「もんじゅ」の後に続く新型原子炉の開発が不透明感を増している。
 政府は早々とフランスと共に新たな「高速炉」の開発に乗り出す方針を示したが、原子力委員会が「これまでのような国主導でなく民間で」と異議を唱えたからだ。
 もんじゅには1兆円以上も投入しながら、原子炉の稼働は1年にも満たず、事故と不祥事に終始した。新たな高速炉にも巨額の開発費が必要になるが、また国費を投入するのは反省がなさすぎる。
 国が開発から手を引くことを求めた原子力委の主張には確かに一理ある。
 ただ、それにしても高速炉開発を続けることの意義が曖昧だ。何を目指すのかしっかりと説明できないのでは、どこが主導しようと国民の理解は得られない。
 もんじゅ後継炉では、前のめりの経済産業省などと対照的に、原子力委は以前から慎重姿勢だった。実現可能性がはっきりしない高速炉より先に、原子力に対する国民の不信という現在進行形の課題に向き合うよう求めてきた。
 原子力委は4月、高速炉などの開発に当たっては今後、原子力関連企業や電力各社が主導して取り組むよう提言した。長らく続いた「官主導」から「民主導」への転換を訴えたわけだ。
 ただ、民の側の電力やメーカーからは「高速炉を商業ベースで開発するのは難しい」「国が長期ビジョンを示す必要がある」と、相変わらず国頼りの意見が出された。民間主導で行うとしたら、高速炉開発は立ち消えになる可能性が高いだろう。
 もんじゅ廃炉後の計画は、政府の高速炉開発作業部会で検討中。年末までに、今後10年間の工程表をまとめることになっている。
 これまでの議論で、今後建設するフランスの高速炉実証炉「ASTRID(アストリッド)」で共同研究することが決まっている。発電に加えて、放射性元素の分離や変換も行うとみられる。
 ただ、両国が取り組もうとしているのは高速炉。日本のもんじゅやフランスのスーパーフェニックスのような高速増殖炉ではない。「増殖」が抜け落ちたのは、使用した以上の核燃料を新たに作り出すことは目指さないということだろう。
 高速は「高速中性子」を核反応に利用することを意味する。一般的な原発はよりエネルギーが低い「熱中性子」を利用している。
 核燃料の増殖を行わない高速炉が、果たして研究開発に値するのだろうか。高速増殖炉の挫折が明らかになった以上、膨大な開発コストをかけて似たような仕組みの原子炉を開発したところで、経済的な効果は乏しいだろう。
 目の前の難題を先送りしたまま、原子力の夢をばらまくのはもうやめるべきだ。