カナダ東部シャルルボワで8日から先進7カ国(G7)首脳会議(サミット)が開かれる。わが国にとって極めて重要な議題となるのは、北朝鮮の核廃棄、貿易摩擦、拉致問題の三つだ。
 会議に参加する各国は、いずれも自由や人権という人類の普遍的な価値を共有する国々であり、足並みを乱すことなく、直面する難題の解決に取り組むべきだ。
 サミットを控えて安倍晋三首相は6日に渡米。開幕前日の7日午後、ワシントンでトランプ大統領と会談し、北朝鮮の非核化について詳細を擦り合わせる。その上で、サミットをシンガポールで開催予定の米朝首脳会談の成功に向けた、いわば結束の場としたい意向だ。
 そのためには、北朝鮮と地理的に遠く比較的関心が薄いとみられる欧州のG7諸国から全面的な賛同を得る必要がある。日本の歴代首相では最多となる7回目の参加であり、ドイツのメルケル首相に次ぐ古参である安倍首相の力量が問われる場面も、少なからずあるはずである。
 「完全かつ検証可能で不可逆的な非核化(CVID)」と、日本が射程に入る中短距離を含むあらゆる射程の弾道ミサイルの完全放棄、さらには日本人の拉致問題の解決は、譲れない一線だ。合意形成に向けて首相には全力を尽くしてもらいたい。
 拉致問題に関しては、トランプ氏は米国の歴代大統領の中で最も詳しく、共感を寄せていると言われる。サミットの首脳宣言で拉致に言及した上で、米朝会談につなげられれば、解決に近づく可能性も高まるだろう。
 今回のサミットで憂慮されるのは、米国の保護主義的な傾斜によって広がりつつある貿易摩擦だ。先に行われたG7財務相・中央銀行総裁会議では、輸入制限を巡って米国と他の6カ国の間に深刻な亀裂が走った。
 米国は鉄鋼とアルミニウム製品の輸入制限を日本をはじめ、欧州連合(EU)などにも発動。これに対し、G7議長国のカナダが米国を名指しで批判するなど、貿易戦争の様相を色濃くしながらのサミットとなる。
 トランプ氏が保護主義に傾く背景には、11月に実施される中間選挙がある。政権の行方を左右する選挙を控え、トランプ支持層の労働者を引き付けておく狙いがあると言われる。とすれば、あまりに大衆迎合的な政策である。
 こうした保護主義的な政策に対し、同じく保護主義的な報復措置を発動しては、通商問題は泥沼にはまる。報復の連鎖を避け、世界的な貿易戦争を回避する粘り強い交渉を続ける必要がある。
 今回ほど各国の結束が成否に直結するサミットは例がない。いつにも増して7カ国が連携し、共同歩調を取れるかどうかが鍵になる。サミットの存在意義が問われている。