全国で急増する大規模太陽発電所(メガソーラー)について、環境省が法律に基づく環境影響評価(アセスメント)を義務付ける方向で本格的な検討を始めた。
 メガソーラー建設のための大規模な森林伐採などは各地で深刻な問題を引き起こしている。山形県や長野県など全国の49自治体では既にメガソーラーを環境アセスの対象とする条例を制定している。
 環境破壊や景観への影響など課題を抱えた自治体が先行して解決に動いている。それに比べて国の対応は鈍く、かなり遅きに失した感は否めない。環境省は検討を急ぎ、全国一律の基準で環境アセスを発電事業者に早急に義務付けるべきだろう。
 西日本豪雨の際、神戸市須磨区のJR山陽新幹線のトンネル付近で7月5日、民間業者が設置した太陽光パネルが線路側に崩落。架線に接触する恐れがあったため、JR西日本は一時、新幹線の運行を見合わせた。
 こうした事態を受けて、神戸市は防災上の観点から規制が必要として、この秋にも条例を制定する予定だ。事業者が太陽光パネルを新設する際は届け出制とし、山の斜面や住宅地の場合は許可制、土砂災害警戒区域など設置が防災上不適切な場所は禁止区域にする方針だという。
 また、既設のパネルも対象に、撤去費用の積み立て状況など維持管理状況を事業者に報告させる内容も盛り込むという。耐用年数が過ぎたパネルが廃棄物として適切に処理されず、現地に放置される懸念があるためだ。
 どれを取っても、太陽光発電自体が内部に抱える問題や矛盾に対する自治体側の対応だ。こうした規制内容を後退させないレベルで、国の厳格な規制が求められよう。
 風力や水力、地熱など他の再生可能エネルギーと違って太陽光発電は法に基づく環境アセスが義務付けられていなかった。この事実自体が国の環境行政の手落ちだと言わざるを得ない。結果として、各地で森林の野放図な伐採や景観の悪化を招く事態を生じさせている。
 太陽光を巡っては訴訟に至った例もある。今月8日、2015年の関東・東北豪雨による茨城県常総市の鬼怒川の氾濫は、国の河川管理の不備だとして、住民らが損害賠償訴訟を起こした。太陽光発電の民間業者が自然堤防の砂丘林を掘削するのを国が放置していたという訴えだ。
 西日本豪雨の際は、広島や愛媛など5県にある12カ所の太陽光発電所で、土砂崩れによる太陽光パネルの崩落などが起きている。場所によっては、感電事故が起きる可能性も多分にあった。
 現段階では安全を担保する法整備が不十分だ。環境アセスに防災上の規制も取り入れるべきなのは、言うまでもない。多様な視点からの検討を望んでおきたい。