北海道で最大震度7を記録した地震の発生から1週間余り。全域に及んだ大規模な停電はほぼ解消されたが、電力の供給不安は依然として長期化する見通しだ。

 世耕弘成経済産業相は14日、これまで企業や家庭に要請してきた平日2割の節電を連休明けから取りやめると発表した。以後は、できる限りの範囲での節電を呼び掛けるという。

 地域と時間を区切って電力を順番に止める計画停電に関しても、世耕経産相は「当面は実施する必要はない」と語った。揚水式の水力発電などの再稼働を受けて、電力供給が改善したためだという。

 仮に計画停電が実施されれば、避難生活を送る被災者や産業復興を図る企業などに支障を来すところだった。東日本大震災の際は、直後に東京電力が計画停電を実施し、周知方法などを巡って混乱が広がり、社会活動全般に大きな影響が出た。

 とりあえずほっと胸をなで下ろしている関係者も多いだろう。ただし、道内での電力の需給バランスは当面、綱渡りの状況が続く。

 地震直前の電力需要はピーク時383万キロワットで、14日現在で確保している供給力は、ほぼ同じ約390万キロワット。暖房を使用する頻度が増える季節が近いだけに、電力の需給がさらに逼迫(ひっぱく)するリスクは避けられない。

 被災した火力発電所の復旧を急ぎ、安定電源の確保に全力を挙げてもらいたい。また、発電所が一斉に停止する「ブラックアウト」や電力不足がなぜ生じたのか、北海道電力は詳細に原因を分析し、再発防止策を徹底しなければなるまい。地震への対応策が遅れていた責任も問われよう。

 北海道電では唯一の原子力発電所である泊原発(出力207万キロワット)が長期停止中のため、電力需要の多くを苫東厚真(あつま)火力発電所3基(計165万キロワット)に依存していた。その3基が地震で損壊、全面復旧は11月以降となる。

 ブラックアウトの主要な原因は苫東厚真発電所に電源を頼っていたことだ。一極集中型の大規模発電所は経済効率はよくても、大規模災害などで損傷を受けると、被害が大きく広がる。そうした弊害が今回は露呈したと言える。

 北海道電が無策だったわけではない。本州から電力を融通する「北本連系線」(60万キロワット)は送電能力を90万キロワットに増強する工事が行われており、運用開始は来年3月。液化天然ガス(LNG)火力の石狩湾新港発電所1号機(57万キロワット)も同時期の稼働。今回の地震に間に合わなかったことが悔やまれる。

 工事を可能な限り急ぎ、再生可能エネルギーも含む分散型の電力供給体制を構築することが求められよう。電力は経済活動を支え、生命にも関わる重要な社会基盤だ。供給体制を総点検し、危機管理に万全を期す必要がある。