国が2020年までに各都道府県に最低1カ所の設置を目指していた性暴力被害者のワンストップ支援センターが先月、全都道府県に整備された。被害に遭った誰もが、いつ、どこでも、一度助けを求めさえすれば必要なケアを等しく受けられるようにする目的だが、支援内容にはばらつきがあるのが現状だ。
 センターの整備は法律に規定されているわけではなく、運営主体もさまざま。国が17年度、開設や運営費などに活用するための交付金を設けたことが後押しになり、ようやく外形が整ったにすぎない。
 内閣府が3年に1度実施している男女間の暴力に関する調査によれば、20歳以上の男女の20人に1人は無理やり性交された経験がある。女性に限れば13人に1人の割合だ。
 3割は配偶者、2割は交際相手から。職場の同僚などが1割超、「まったく知らない人」も1割に上った。被害をどこにも相談しなかったという人が女性の6割、男性の4割。その理由は「恥ずかしくて誰にも言えなかった」が最も多く、「自分さえ我慢すればこのままやっていけると思った」「思い出したくなかった」などが続く。
 「どこに相談してよいか分からなかった」「相談しても無駄だと思った」がそれぞれ2割。昨年末の調査の時点でワンストップ支援センターに相談したとの回答は0.6%にとどまった。被害が潜在化しているのは明らかだ。
 心身に大きなダメージを受けた被害者が、どこで支援を受けられるか自分で調べ、いくつもの機関に足を運び、そのたびにつらい体験を説明し、場合によっては心ない対応に傷つけられ、諦めてしまう。そうした事態を避けるための機能がセンターには求められる。
 緊急避妊薬の処方や性感染症の検査などの医療に加え、被害者の身体や衣服からの証拠の採取・保全も時間を置かずに進めなければならない。
 発生直後から、訓練を受けた相談員が、突然被害に遭って混乱している人に寄り添い、先を見通して必要な支援をコーディネートしていくのが望ましい。病院や警察、司法の現場に付き添える態勢も必要だ。
 開設されたセンターで、365日24時間対応は全体の3割にも満たない。わらにもすがる思いで電話をかけたのに、テープの音声が流れたり、結局警察の宿直につながったりでは、何も変わらない。
 センターが十分に機能するためには、寄付やボランティア頼みではなく、国や自治体の継続的な財政支援が不可欠だ。国会では野党7党派が提出した性暴力被害者の支援法案が継続審議となっている。
 根拠法を制定し、全国どこでも同じ水準で確実なサポートが提供できて初めて、被害者が安心して声を上げ、性暴力に対する社会の認識を変えていけるのではないか。