台湾が続けている福島など5県産の食品の輸入規制が継続されることになった。先月末の住民投票で「継続賛成」が多数を占めた。
 東京電力福島第1原発事故後、日本食品の輸入規制は54カ国・地域が導入。現在も25カ国・地域が継続するが、撤廃・緩和の動きは一歩ずつ進んできただけに、水を差すような結果は残念でならない。
 台湾の規制は福島県と茨城、栃木、群馬、千葉の関東4県を対象に、酒類以外の全食品を輸入停止にしている。
 台湾には原発事故後の不安が根強く残っている。アジアと欧米の10カ国・地域の大都市住民を対象に、東京大などが昨年2月に実施した意識調査では「福島県産の農産物を不安」と回答した人が81.0%と最も高かった。
 こうした事情もあるが、それ以上に同時に行われた統一地方選の影響が大きい。民進党政権が規制緩和に前向きだったのに対し、最大野党の国民党が反対し、住民投票を提起した。輸入規制問題が政争の具に使われた面は否定できず、日本が主張する「科学的根拠に基づく判断」が下されたとは、とても言い難い。
 残念だが、輸入規制は「外交カード」にもなっている。
 中国は宮城、福島など10都県の全食品や飼料の輸入停止措置を続けてきた。安倍晋三首相と李克強首相との会談を経て、先月末、一部規制を緩和したが、輸入を再開したのは新潟県のコメに限られた。
 通商問題で米国と緊張状態にある中国が、対米で協調したい日本との関係を改善するため、輸入規制の緩和に動いたとみられる。今後もカードとして残すため、緩和対象を一気に広げず、小出しにしてくる可能性は十分にある。
 一部の福島県産の輸入を停止しているのは、中国、台湾に加えて韓国や香港など計8カ国・地域に上る。放射性物質濃度など安全性に関する検査証明があっても輸入を認めていない。大半が日本にとっての主要な輸出先で、原発事故前は福島からの輸出も少なくなかった。
 輸入規制は外交問題である以上、直接の成果は、政府や外務省、農林水産省などの粘り強い交渉に期待するしかないが、地元側も安全性を繰り返し訴える必要がある。
 内堀雅雄福島県知事は来年1月下旬、香港を訪れる。輸出できないため、大規模な試食会やレセプションを行えないなど制約はあるが、トップ訪問による緩和要請といった活動を続けるべきだろう。
 隣国など規制のない国や地域への輸出実績の積み重ねも大切だ。2017年度の福島県産農産物の輸出量は約210トン。原発事故前(10年度の153トン)を初めて超え、過去最高となったが、本年度は伸び悩んでいるという。
 原発事故から間もなく8年。今も続く異常な事態の打開に向けて、政府、自治体は努力を尽くしてほしい。