より良い地域や社会を目指して志や思いを同じくする人々が集まり、公益活動に汗を流す。そんなNPOの存在は今や、社会に根差した感がある。活動の場も増えた。
 民間団体の活動を促す特定非営利活動促進法案(NPO法)が成立してから12月で20年となった。社会的な課題が増え、かつ多様化する中で、行政や企業の手が届きにくい分野でNPOが果たす役割は大きい。
 特に東日本大震災の被災地では、被災者支援や復興推進を目的とした多くの団体が設立された。震災発生から7年9カ月。資金や人材の不足などから撤退したり、活動が先細りになったりする団体もある。住民や行政が連携し、支え合うことが必要だろう。
 NPO法制定に向けて運動が加速した契機は、1995年の阪神大震災だった。多くのボランティアが救援に駆け付け、「ボランティア元年」と呼ばれた。NPO法は議員立法で98年に誕生。個人が取り組む活動を、NPOという組織としての市民活動に変える大きな役割を果たした。
 NPO法人は全国で5万を超え、東北6県で計約3000ある。宮城県では10月現在、820の団体が認証されている。県内では東日本大震災後、石巻市などの被災地で急増し、2011年3月以降に設立されたNPO法人は300団体を超える。
 一方で、課題は多い。内閣府の17年度の実態調査によると、全国約3500のNPO法人のうち、課題として「人材の確保や教育」と答えた法人が66.9%を占めた。「後継者の不足」も38.8%で、活動を支える人材育成に悩む実態がうかがえる。
 寄付金収入がゼロの団体は4割で、5割を超す団体は補助金・助成金を受けていない。運営資金の確保は長く、NPOが抱える大きな課題として横たわる。
 注目されるのが、今年1月に施行された「休眠預金活用法」。10年以上出し入れのない預金を民間の公益活動に充てる。19年秋にも運用が始まり、年間500億円規模をNPO法人などに助成、融資する。日本では前例のない、いわゆる社会実験でもある。NPOなどの団体を資金面から支援することで、さまざまな課題解決につながることに期待したい。
 制度を活用した活動に対しては、どれだけ社会的な成果を上げたのかを測る「社会的インパクト評価」が実施される方針だ。数値に表れる成果だけで評価していいのかどうか。地道に活動する団体への柔軟な運用を求めたい。
 震災被災地では時間の経過とともに震災前から潜在する問題が顕在化してきた。復興支援を担うNPOの中には一過性ではなく、息の長い活動を続ける団体もある。
 市民活動の意義は一層高まっている。行政や地域が一体となって活動を支えたい。