2020年以降の地球温暖化対策の国際的枠組み「パリ協定」を壊さぬようにと、世界が危機意識を共有した結果であろう。
 国連気候変動枠組み条約第24回締約国会議(COP24)が、協定の具体的な実施ルールを採択した。主要な論点を巡り先進国と発展途上国が再三対立。合意が危ぶまれたが、会期を延長して粘り強く協議を重ね、どうにか妥結にこぎ着けた。
 温暖化対策に向け、全ての参加国が共通ルールの下で一致して動きだす位置に付いたことは前進と言える。
 ただ、枠組みの在り方を決めただけで、達成感に浸ってはいられまい。各国がそれぞれまとめる温室効果ガスの削減目標に向け、具体的な実践に踏み出さなければ深刻な温暖化の被害は防げない。
 今回、実施ルールの設定を巡っては、途上国も含め削減の実効性をどう高めるかが焦点だった。意見が分かれたのは削減手法や、目標の達成の検証・評価の方法である。
 15年に各国が提出した削減の数値目標は基準とする年次などがまちまちで、一律に評価できず先進国側から曖昧さや不公平感が指摘された。
 途上国側は、25年までに出す目標も当初、柔軟なルール適用を主張した。容易に解消しない双方のあつれきが常に横たわる中、産業構造やエネルギー政策の違う全ての国に厳しい共通ルールをあてがう意味は重い。
 パリ協定は「産業革命前からの気温上昇を2度未満、できれば1.5度に抑える」と明確な数値目標を掲げている。削減未達成などで罰則はないとはいえ、できる限り科学的で詳細なデータの積み上げが求められる。ルール統一は当然のアプローチであろう。
 国の実情に即し、どう主体的に取り組んでもらうかが鍵になる。ルール設定とは別に途上国への資金支援が今回、一つの誘因策となった感がある。会議では先進国は20年から2年ごとに将来の拠出額を提示するよう定めた。途上国の技術支援に充てられる。
 ただ、15年の世界最大の二酸化炭素排出国、中国が途上国の立場から発言するのは違和感がある。国際研究チームの予測では中国の排出量は18年、経済成長に伴い過去最高になる見通しという。トランプ大統領が「パリ協定」脱退を表明した排出量2位の米国も2.5%増加の見込みだ。
 両大国の腰が引け、政情不安を抱えるフランスやドイツなど、従来けん引役だった欧州各国も足元がおぼつかない。会議では、石炭火力発電を重視する日本が批判の矢面に立たされた。多国間による協調主義は一気に不安定化する恐れを常にはらんでいる。
 身近な所で異常気象が増え温暖化は危険水域に入りつつある。自国の利益にとらわれず、誰もが危機の中にあることを自覚すべきだ。対策強化の機運を止めてはなるまい。