平成の30年間。この時代を象徴するのは数多くの自然災害だ。雲仙普賢岳の火砕流があった。北海道南西沖地震があった。阪神淡路大震災があった。そしてあの東日本大震災の悲劇。大きな爪痕を残した災害が多発した。
 一方で、災害復旧や復興の過程を経て有益な知恵を蓄積し、その後の災害対応に生かした誇れる事実も残る。阪神大震災を経験した人たちが東日本の救援に駆け付け、次は東北から、例えば広島市の土砂災害や熊本地震の支援に出向いた。
 民間のボランティアばかりではない。実際に災害を体験した自治体の職員が現地に赴き、体験から生まれたノウハウを伝えた。思わぬ結果として地方と地方の関係が強まる果実を手にした。地方間の距離感が消えつつある。
 これから地方はどんどん面白くなる。例えば、各地で活躍するご当地キャラを思い浮かべたい。熊本地震からの復興の旗振り役として被災者の心を支え、支援の感謝を全国に伝えるなど熊本県のファンを広げている。
 地域の魅力を発信し、地域振興に奮闘するご当地キャラは数え切れない。人々を勇気づけ、子どもたちの郷土愛を育てている。他にも、高額返礼品に批判はあるが、ふるさと納税制度は地域自慢の産品に光を当てている。
 災害、不安、停滞。地方を覆っているマイナスイメージの根にあるのは、人口減の現実と悲観的な将来予測だ。しかし、いったん立ち止まって重苦しい空気の原因をよくよく考えてみたい。
 人口増加が単純に国民の幸福につながるのかという疑問をまず提起したい。人口減少で地方そのものが消滅するわけではない。人口規模に合わせて市町村の合併が進み、行政の効率化が図られる。解決できる問題ばかりだ。
 日本の人口は約1億2600万。半世紀後、8800万まで減るというのが国の推計だ。比較したい。ドイツの現在の人口は8200万、英国6600万、イタリア6000万、カナダ3700万、豪州2500万。
 経済的には日本は巨大な市場であり続ける。平成の初め、バブル経済の崩壊で景気が悪化し、金融引き締め策が災いして経済は長期のデフレ不況に沈んだ。平成の終わりになってようやく明るさを取り戻している。
 ごく近い将来、実用化される車の自動運転は、高齢者の交通問題を解決する。地方に住みながら都会の仕事をするテレワークが可能になる。人工知能(AI)は多くの労働力を代替する-。
 どれも地方にとって、夢ある未来を描ける科学技術の進展だ。国の調査によれば、すでに若い世代が地方に目を向け始めている。改元の年頭に強調したいのは、地方にはいろんなチャンスがあるという見落としがちな事実だ。