今度こそは「政治ショー」に終わらせず、国際社会が納得する具体的な成果を上げねばならない。

 べトナムのハノイで今月下旬、開かれる2度目の米朝首脳会談。実務者レベルの再協議が来週にも行われる。

 6~8日に平壌であったビーガン北朝鮮担当特別代表と北朝鮮国務委員会の金革哲特別代表との最初の協議では、互いに何を望むかを述べ合うにとどまったという。

 米国内では国家情報長官、軍司令官が、完全な非核化実現について否定的な見解を相次ぎ示している。状況は厳しいが、交渉進展に向け最大限の努力を尽くしてほしい。

 首脳会談の成功は、実務者協議での入念な準備があればこそだ。トップ同士の決断に委ね、曖昧な合意で停滞と対立を引きずった前回会談の轍(てつ)を踏んではなるまい。

 前回の共同声明では「朝鮮半島の完全な非核化」「米国による安全の保証」の文言を双方が都合よく解釈した。今回はその齟齬(そご)を修正し、真の非核化につながる行程表を描けるかに尽きる。

 ビーガン氏は従来通り、核開発の全容を申告する必要性を強調しているが、時期は定めていない。施設の査察、兵器の破壊、撤去を求める一方、寧辺の核施設廃棄に対する「相応の措置」として「他の国々と共に投資を進める」と経済協力をほのめかす。硬軟絡めたアプローチに変えているのは明らかだ。

 北朝鮮が求める「段階的・同時行動原則」に沿っているようにも映る。単発的な施設破壊で、その都度見返りを取りつつ非核化自体を曖昧にする。関係国が過去に何度も煮え湯を飲まされた手だ。

 こうした北朝鮮ペースで会談に入れば、トランプ米大統領が譲歩に傾きかねない。米本土を狙える大陸間弾道ミサイル(ICBM)の廃棄だけで朝鮮戦争の終戦宣言や体制保証に応じる可能性がある。

 国連の専門家パネルの報告によれば、北朝鮮の核開発や密輸による外貨稼ぎは2018年も続いた。核燃料の生産が行われている可能性も米研究所が指摘している。

 金正恩朝鮮労働党委員長は今年の「新年の辞」で「核兵器をこれ以上つくらず実験もせず、使用も拡散もしない」と述べたが、にわかに信じることはできない。

 北朝鮮の核と短・中距離ミサイルが温存され、核保有国として生き延びることだけは食い止めねばならない。

 米国とロシアの中距離核戦力(INF)廃棄条約が事実上破綻し、軍拡競争の再燃が懸念される。率先して核軍縮をリードできない大国が、アジアの小国の核をとがめられるのか。そんな疑問も湧く。

 米国は腰を据え、世界の核廃棄と軍縮に真剣に向き合うべきだ。北朝鮮からつけ込まれる隙を与えないためにも、完全な非核化と制裁維持の圧力を緩めてはなるまい。