米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古移設を巡って、沿岸部の埋め立ての是非を問う県民投票は開票の結果、反対が7割を超えた。投票率は過去の知事選や国政選挙と比べるとやや低調だったものの、一定の民意が示されたと言えよう。

 移設を進める国側は「これからもご理解いただけるように対話を続けたい」(安倍晋三首相)として、工事続行の姿勢を崩していない。結果として、今回の投票によって国と県の対立が従来以上に激化するのは必至だろう。

 そうした事態を何より憂慮せざるを得ない。移設を巡るこれまでの経緯はともかく、不毛な対立と深まる混迷を脱するには、投票結果を受けて国側が何らかの打開策を探る努力が不可欠だ。

 国と沖縄とのいがみ合いが続く中での埋め立て工事の続行は、将来に禍根を残すはずである。埋め立てを巡る法廷闘争も県との修復不能な分断を招きかねない。

 米軍普天間飛行場の移設そのものに関しては、これまでの各種の世論調査でも県民の多くは賛成している。あくまで緊急避難的な危険除去の移設という目的を考えれば、曲折を経た辺野古移設の判断は、全くの誤りであったとまでは言えないだろう。

 ただし、今回の県民投票の結果を重く見て、埋め立てを即時中止し、移設計画を白紙撤回する選択肢も政府は取り得るはずだ。既に辺野古沿岸部の埋め立てが一定程度進んではいるが、工事の中断は国側の決断次第とも言えるからである。

 今回の県民投票に法的拘束力はない。しかし、だからといって県民の意思を十分に政府が尊重しないままでは、将来の基地の運営にも支障を来す恐れがある。県側が今回の投票結果を基に、あくまで辺野古移設の全面的な撤回要求を貫徹している以上、そうした地元の民意を最大限に尊重するのは、政府の避けられない役割である。

 戦後長らく、全国の自治体の中で沖縄が突出して過剰な基地負担に苦しんできた事実は、多くの国民が子細に承知している。沖縄の声に耳を傾け、その主張に共感し、基地負担の軽減にこれまで以上に努力するのは、国民全体に課せられた義務でもある。

 他方、北東アジアの安全保障の状況を見据えれば、米軍基地の存在が厳然として必要とされているのは、間違いない。新たな冷戦が始まったといわれる米中の対立、核兵器の放棄の道筋が不透明さに包まれる北朝鮮情勢など、わが国の安全保障は危機にさらされている。

 国の安全保障の在り方、米軍基地の必要性、沖縄の負担軽減などに十分に目配りしつつも、こじれにこじれ、もつれにもつれた基地移設の糸を解きほぐすためには、県民の意向を斟酌(しんしゃく)する政府の真摯(しんし)な姿勢は欠かせない。