社会参加を避け、半年以上にわたって自宅にいる40~64歳のひきこもり状態の人が、全国で推計約61万3000人に上る。内閣府がそんな調査結果を公表した。
 中高年を対象にした調査は初めてだ。ひきこもりが若者だけの問題ではなく、長期化し高年齢化している実態が浮き彫りになった。根本匠厚生労働相は「大人のひきこもりは新しい社会的問題だ」との認識を示した。
 だが、中高年のひきこもりは以前から、多くの関係者が指摘してきた問題だ。歳月がたてば、ひきこもる若者は年を重ねる。自明の理なのに、国は対応をおろそかにしてきた。国や自治体は深刻な状況と受け止め、有効な対策を打ち出す必要がある。
 ひきこもりは不登校の延長などによる若者の問題と捉えられてきた。従来、調査や対策の対象は15~39歳で、2015年の調査では推計約54万人だった。今回の調査で、若年層より中高年の方が多いという実態が分かった。合わせると100万人を超える。
 今回の調査は無作為抽出した全国5000世帯を調査員が訪問し、ひきこもりの人がいる場合、家族などから生活状況を聞き取った。
 目を引くのは、ひきこもる期間の長さだ。7年以上という人が46.7%に上り、このうち20年以上が19.1%、30年以上も6.4%いた。
 父親か母親が家計を支える世帯は3割を超え、親の年金が頼りという人もいる。就職氷河期世代の40代が約4割を占め、就職活動の失敗や職場になじめなかったことがひきこもる契機になっていた。
 80代の親、50代の子の家族が孤立し困窮する事例は「8050問題」と呼ばれる。今のままでは問題のさらなる深刻化が危惧される。「親亡き後」の生活も避けて通れない切実な問題だ。
 行政は、中高年のひきこもり解消に向けた施策を早急に検討するべきだ。本来は会社や地域の中核をなす年代の人々がひきこもっているのは、社会的にも大きな損失と認識しなければならない。
 中高年を含めた幅広い層のひきこもり支援については、東北でも一部の自治体や民間団体に先行例がある。
 住民約3300人の秋田県藤里町では、社会福祉協議会が地元企業と連携し、ひきこもりの人を地域社会の担い手として就労を支援する。10年ほど前に100人以上だった当事者の多くが仕事に就き、活動は成果を上げている。
 仙台市のNPO法人「わたげの会」は、家庭訪問などで家族を支えている。ひきこもりの人たちが語り合える居場所を提供し、段階的に就労につなげていく支援メニューを用意する。中高年に特化した寮の整備も進めている。
 そうした取り組みを参考にしながら、行政や地域、支援団体などが連携し、問題解決に向けた仕組みを築きたい。