地方の選挙で、なり手不足が一段と著しい事態になっている。統一地方選の後半戦をみても、全国86市長選の31.4%に当たる27市で立候補者が1人しかおらず、無投票当選だった。
 121の町村長選のうち、55町村が無投票に終わった(45.5%)。町村議選も例外でなく、総定数の約4分の1に上り、定数割れした議会も8町村あった。東北では、宮城など被災3県が主な選挙を夏から秋にずらしている。今回は北上市など5首長選、寒河江市など11市町村議選で無投票当選が決まった。
 各地の市長選で、これまでにない光景が見られた。喜びの当選インタビューの席上、「堂々と選挙をやりたかった。主張を聞いてほしかった」とぼやきを漏らしていた。
 もはや「深刻」という表現では片付けられなくなっている。疲弊する地域経済と人口減少、高齢化によって人材の細っている状況を映していると言えるが、住民の声を行政に届けるという地方自治の礎を揺るがしかねない。議会運営をはじめ、抜本的な対策を講じる時にきている。
 首長選において無投票の増える背景には、現職がますます優位に立つ現状がある。新人が選挙資金を準備し、政策を練り上げ、スタッフを用意するのは過疎地では難しく、落選のリスクを考えて二の足を踏むケースが多い。
 無投票だと地域の課題について政策論争は生まれず、当選者は住民の民意に気付かないまま登庁することとなる。有権者にとっても、選挙公報もないのでは当選者がどういう人なのか、何をしたいのかが分からず、縁遠い存在となろう。
 身近な選挙とされる町村議選は、さらに切実だ。本業の農業や自営業は人手不足で忙しく、平日開かれる議会に出席は難しいという。選挙カーや運動員の確保に資金と時間をかけても、議員報酬は薄給で割に合わないといい、魅力を感じなくなっている。
 2017年に高知県大川村の村議会が議会に代わる「村総会」の設置を検討した。有権者が予算案などを直接審議する方式は現実的に難しく、頓挫したとはいえ、村民が立候補しやすい仕組みづくりに乗り出している。
 改革のうねりは広がっている。日頃の活動を知ってもらおうと、「議会白書」を発行したり、政策づくりを住民と一緒に取り組んだりするところも出始めた。昨年には、総務省の研究会が小規模な町村を対象に議員の兼業・兼職制限を緩めることや、平日夜間や土日曜日の開催を提言している。
 国や地方、有権者が危機感を共有し、アイデアを出し合うのは意義深い。人材発掘を担うべき政党の役割や女性の参加機会の拡大を含め、住民と近い存在の首長や町村議会のあるべき姿について議論を深化させ、対策を急ぎたい。