もうすぐ幕を閉じる平成の時代は、多くの災害に見舞われた30年余だった。大規模な災害が起きるたびに、避難後の過労やストレス、持病の悪化などで亡くなる「災害関連死」が問題視されてきた。
 平成に発生した災害で、関連死と認定された人は5000人近くに上る。その犠牲者の数は、大規模災害に匹敵すると言っていい。しかし、災害ごとの関連死の正確な数や実態を把握している国の省庁はない。
 ここにきて国もやっと重い腰を上げる。内閣府は本年度から、関連死の実態把握に乗り出す。都道府県に人数の報告を求めるという。死亡までの経緯などを報告に含めることも検討している。
 関連死は対応次第では減らせたはずの犠牲だ。減らすには、これまでの事例を収集して分析し、教訓を導かなくてはならない。これ以上犠牲を出さないため、国は早急に実態を把握し、実効性のある施策を講じてほしい。
 関連死は、1995年の阪神大震災から認定されるようになった。このときは避難所でのインフルエンザ流行も要因となり、関連死は921人に上った。
 東日本大震災では関連死が3701人に達し、うち9割近い3279人が66歳以上の高齢者だ。東京電力福島第1原発事故があった福島県が全体の6割を占める2250人、宮城県は928人、岩手県は467人となっている。
 新潟県中越地震(2004年)や熊本地震(16年)では、車中泊によるエコノミークラス症候群などで亡くなる人が相次ぎ、関連死の数は直接死を上回った。
 復興庁は12年、東日本大震災の関連死に関する報告をまとめたが、避難所での生活や心のケアなど改善すべき課題を挙げたにすぎない。どうすれば命を救えたのか。そうした視点からの検討はほとんどなされなかった。
 地震や津波などから助かった命が、その後の避難生活で失われることがあってはならない。平成に置き去りにされた関連死対策は今後、防災・減災の重点的な施策と位置づける必要がある。
 関連死で亡くなった一人一人の背景には、われわれが見過ごしてきた事前防災の弱点が潜むケースもあろう。国は収集し分析した事例を分類・公表し、自治体などが検索できるようデータベース化することが望ましい。
 それは、日本弁護士連合会や専門家がこれまで指摘してきたことである。プライバシー保護に留意しつつ、社会で共有してこそ、命を守るために役立つ資料となる。
 関連死は、遺族の申請を受けて市町村の審査委員会などが可否を判断する。認定されると最大で500万円の災害弔慰金が支給される。遺族が制度を知らずに申請しない事例もあるとされ、制度の周知も大事な課題となる。