第5世代「5G」と言われる新たな移動通信システムの電波割り当てが行われた。来春には、通信各社による本格的なサービスが順次展開されるという。

 5Gを巡っては国際的な覇権争いが激化している。その一方で、地域課題の解決に寄与する可能性も大きく、新技術をどう生かすか、地域自身も問われている。

 「新幹線や高速道路に匹敵する21世紀の基幹インフラ」(石田真敏総務相)という5Gは、現行システム(4G)の100倍とも言われる「高速大容量」の通信が可能となる。総務省によると、2時間の映画が3秒でダウンロードできるようになるという。

 加えて、通信伝達時間が10分の1ほどの0.001秒程度に短縮され、時間差(タイムラグ)がほとんどない「超低遅延」、1平方キロ当たりで100万台の端末と同時接続できる「同時多数接続」も特長だ。

 現在、実用化に向けた試験研究が進む自動運転や遠隔医療などは、5Gの活用策として想定されている。

 家電品などのさまざまな製品がインターネットとつながるIoT(モノのインターネット)や、スポーツ観戦やゲームなどの環境も、AR(拡張現実)やVR(仮想現実)を用いることで、劇的に変わりそうだ。

 基幹となる通信設備は現在、中国通信機器大手の華為技術(ファーウェイ)が先行。技術的な主導権を握られることに、安全保障上の危機感を持つ米国は法律で同社を事実上排除する方針を示し、各国にも対応を求めた。日本は追随するが、欧州各国は独自の対応を取る。5Gは早くも外交に影響を及ぼしている。

 日本は従来、携帯通信各社が個人を対象としたサービスを競い合ってきた。5Gでは、産業向けのサービス創出が問われる。国際的に出遅れた中、多くの業種の企業との連携による成果が期待される。

 人口減少、高齢化や人手不足などの影響は、地方がより顕著だ。その意味では、地方ほど5Gの恩恵を受けられるのではないか。

 自動運転や遠隔操作の実用化で農林漁業や中小製造業、工事現場での省人化・効率化が図れるほか、バスなど公共交通網存続への活用も期待される。ロボットを使った遠隔医療、高齢者の見守りなど社会福祉でも可能性は広がる。

 総務省が昨年実施した5Gの利活用コンテストでは、福井県永平寺町が昨年2月にあった福井豪雪を教訓に、センサーによる積雪情報の自動収集や除雪作業の省人化などの対策を提案、高い評価を得た。防災、減災対策にも役立てることができそうだ。

 企業側の取り組みを待つのではなく、地域からニーズを発信することで、5Gを活用した解決策を産学官で探り、ビジネスにつなげられる機会はあるはずだ。