東北中央自動車道の南陽高畠インターチェンジ(IC)-山形上山IC間の24.4キロが開通し、東北道、山形道と合わせて仙台、山形、福島の3市を結ぶ環状高速道路ネットワークが誕生した。
 南東北の3県庁所在地は、それぞれ1時間から1時間半程度で行き来できるようになり、大規模災害や事故で通行止めになった場合も代替ルートの確保が容易になる。観光面では仙台、山形両空港へのアクセスが向上し、訪日外国人旅行者の誘致にも効果が期待される。
 各地の観光資源を結ぶ広域周遊ルートの確立を急ぐとともに、効率化される物流などを産業基盤の強化につなげるため、県境を越えた関係機関の連携が、これまで以上に重要になろう。
 2017年11月に先行して開通した東北中央道の福島大笹生(おおざそう)-米沢北間では、福島県からの観光客の利用が好調だ。同区間の米沢中央IC脇に新設された「道の駅米沢」は年間85万3000人の目標を半年で達成し、今年3月末には170万人を突破した。
 文翔館など山形市内の観光地でも入り込み客は増加しており、この区間だけでも開通効果がかなり広く波及していることが分かっている。
 各県には環状ネットワークによる誘客力を囲い込もうとするのではなく、相乗的に高めていく発想が求められる。特に仙台、山形両空港を生かして訪日外国人旅行者を増やすためには、東北全体を視野に観光資源を総動員し、多様な周遊ルートを提案していくことが不可欠だ。
 一方、近年のように豪雨や大雪など極端な気象現象が多発する中にあっても、高速道路は比較的安定した移動、輸送を可能にする。
 全国屈指の豪雪地帯でもある山形、福島県境の国道13号では2016年度、大型車の立ち往生が約130件あったが、東北中央道の福島大笹生-米沢北間が利用できるようなったことで大幅に減少した。物流の安定性向上や定時性の確保は沿線の産業活動にも追い風になろう。
 福島市は福島大笹生IC、上山市はかみのやま温泉ICの隣接地でそれぞれ工業団地を整備中だ。山形、天童の両市も沿線で同様の計画を進めているほか、伊達、相馬両市では、企業進出に関連する問い合わせが増加傾向にあるという。
 東北中央道が相馬市から横手市まで全線開通すれば、さらに利便性が増し、企業立地の促進、就業機会の増加が一層期待できそうだ。
 東日本大震災では太平洋側の道路網が寸断され、人手や物資が不足した被災地では、救援活動や復旧作業に大きな支障が出た。時計回りにでも反時計回りにでも、日本海側とつながる環状ネットワークはまさしく「命の環」としての役割も担う。効果を最大限に生かす知恵を絞りたい。