地球温暖化が最も進むと東北地方はどれほど影響を受けるのか。仙台管区気象台は3月、東北で今世紀末に起こる可能性が高い気候変動を「地球温暖化予測情報」として公表した。年の平均気温、日の最高・最低気温は、いずれの地域、季節でも4~5度上昇するという。
 予測情報は現在の気候(1980~99年)と将来に予測される気候(2076~95年)の平均値を比較し、温室効果ガスの増加に伴って「じわじわ」と進行する長期的な変化を捉えた。
 宮城県は年平均気温が4.6度上昇し、仙台では福岡の現在の平年値と同じ17.0度になる。最高気温が35度以上の猛暑日は12日、30度以上の真夏日は43日増加し、最低気温が0度未満の冬日は71日減少する。
 1時間に30ミリ以上の激しい雨が発生する頻度は、宮城県で2.5倍になるとみられる。温暖化による海水温の上昇は大気中の水蒸気を増やし、豪雨などを引き起こす要因になるとされ、洪水被害のリスクは高まるばかりだ。
 世界的な民間シンクタンクのローマクラブが「成長の限界」を著したのは1972年。以降、産業革命以降の人類の営みに対する警鐘は幾度も鳴らされたが、大量生産と大量消費は続き、資源枯渇や環境破壊が深刻化した。
 本紙が2年前に開いたフォーラムで政治学者の姜尚中氏は「成長の限界を痛感する時代に起きたのが東日本大震災だった。慣れ親しんだ戦後の価値観を変える必要がある。規模を競う経済とは一線を画し、コミュニティーの中で循環する経済を東北で打ち立てるべきだ」と指摘した。
 温暖化に直面した今、限りない発展と物質的な豊かさを求めて地球の資源を使う高度成長期のような経済活動はあり得ない。資源の有限性という大前提に立った行動が、自然豊かな地方に暮らす人々にも求められる。
 宮城県は次期総合計画(21~30年度)で、国連が掲げる「持続可能な開発目標(SDGs)」の視点を取り入れて地域像を定める方針だ。被災地の石巻、東松島両市は4月、SDGsを推進する部署を設置した。仙台では、大学名誉教授と中小企業経営者が連携してSDGsを経営に取り入れる方法を考えるネットワークが発足している。
 「社会にインパクトある研究」を進める東北大は、持続可能な社会を支える価値観を生み出すべく「エネルギー価値学」の創生に取り組んでいる。エネルギーの「量」と「質」に加えて、必要なときにエネルギーが使える「時間応答性」、人間の営みからエネルギーを見つめる「社会受容性」が4本柱だという。
 「令和」という新しい時代が幕を開けた。東北の産官学が知恵を出し合い、「最悪の世紀末」を回避するモデルを世界に提示したい。