政府が「プラットフォーマー」と呼ばれる巨大IT企業に対し、新たな法規制に乗り出す。政府の有識者会議が方向性などを示した規制案をまとめた。独占禁止法を補完する新たな法律を制定し、違反業者には行政処分を検討することを盛り込んだ。
 巨大IT企業はインターネットの普及などに伴い、ネット通販など生活に欠かせないサービスや情報を提供する社会インフラとなった。その一方で、圧倒的な市場シェアを背景に不公正な取引が指摘されてきた。
 規制案は、IT企業によるデータ寡占の防止や、ネット通販の出品者などとの取引適正化を図るのが狙いだ。ただ、過度の規制は成長や技術革新の勢いをそぎ、サービス低下につながる恐れがある。公平な競争ルールを導入しつつ、技術革新を阻害しないようバランスに配慮した対策が肝要だろう。
 政府は今後、規制強化に向けた制度設計を進め、成長戦略に盛り込むという。IT大手に対しては、個人情報の扱いや不透明な取引への懸念が根強い。政府は透明性のある公正な取引の環境づくりを急いでほしい。
 プラットフォーマーは、頭文字から「GAFA(ガーファ)」と呼ばれるグーグル、アップル、フェイスブック、アマゾン・コムが代表格だ。検索やスマートフォン用アプリ販売、会員制交流サイト(SNS)、ネット通販などを世界規模で展開する。
 規制案では、GAFAなどが優越的な立場を利用し、通販の出店業者など取引先に不利益を強いることのないよう法制度を整備する。取引条件の開示を義務付け、取引における禁止行為をあらかじめガイドラインで定める。
 公正取引委員会が4月に公表した調査結果によると、IT大手5社が運営するネット通販の出品事業者の約5~9割が、規約を「一方的に変更された」と回答。変更に「不利益な内容があった」と回答した事業者が多く、対等とは言えない取引の現状を改めるのは当然と言える。
 個人の利用者保護も重要な課題だ。巨大IT企業は膨大な利用者と、その利用データを独占している。そんな状況が公正な競争をゆがめかねないとして、規制案は利用者が自身の個人データや利用履歴などを他社に持ち運べる「データポータビリティ制度」を提言した。
 この制度は個人の選択肢を増やし、情報の囲い込みへの歯止めとなる可能性がある一方で、実効性を疑問視する指摘もある。さらに慎重な議論が必要だろう。
 巨大IT企業は、ネットを通じて国境を越えたビジネスで収益を上げ、課税の面でも問題を抱えている。政府は規制が先行する欧州の事例も踏まえ、国際的な整合性の確保も見据えて規制の具体策を検討してほしい。