あまりにもずさんな調査にあきれてしまう。これでは地元の同意など得られるはずがないばかりか、かえって不信感が募る一方だろう。配備計画を政府は白紙撤回し、もう一度ゼロから計画を練り直すべきではないか。
 弾道ミサイル防衛の強化策として、防衛省が配備を計画している地上配備型迎撃ミサイルシステム「イージス・アショア」。候補地を選定する過程の調査で、にわかには信じられないようなミスが明らかになった。
 秋田市の陸上自衛隊新屋演習場を配備の「適地」とした調査は、他の地域を「不適」としたそもそもの根拠が誤っていた。イージス・アショアの配備が可能かどうかを検討した地域のうち、9カ所で数値の誤りがあった。
 調査自体が実にいいかげんだった。立地はレーダーの電波の障害となる高い山がない地域が望ましいという。当然ながら、防衛省の担当者が現地に出向き、障害物の有無を自ら調査するべきだった。
 しかし、実際は米グーグルの衛星写真を利用したサービス「グーグルアース」を利用し、山などの地形の断面図から仰角を計算していた。その際、高さと距離の縮尺が異なっているのも知らない担当者が定規や分度器を使って計算したという。
 「初めに新屋ありき」の配備計画ではなかったか-。そんな疑念が地元住民の間で強まるのは当然だろう。新屋演習場を除く地域では、グーグルの地図を使ったおざなりな調査で、お茶を濁したのではないか。そう疑われても仕方がない失策だ。
 言うまでもなく、配備計画を巡ってはまずは地元の同意を得るのが大前提だ。そのためには、なぜイージス・アショアの配備が必要なのか、なぜ新屋演習場でなければならないのか、説得力のある丁寧な説明が不可欠だ。
 秋田市内で8日に防衛省が開いた説明会では、担当者が住民の目の前で居眠りをするという失態を演じ、火に油を注いだ。出席した住民から怒号が飛んだのは当然で、今後の信頼回復は容易なことではないだろう。
 イージス・アショアを巡っては、当初から疑問の声が強かった。導入費用は搭載ミサイルなどを含めると2基で6000億円近いという。北朝鮮の弾道ミサイルへの備えという理由は理解できるが、あまりにも米国の言いなりの購入と配備ではないか。
 新屋演習場と山口県の陸自むつみ演習場(同県萩市、阿武町)がイージス・アショアの候補地となっており、阿武町では今回のずさんなミスに関して町長が防衛省への不信感を口にしている。
 住民の不信と不安は増すばかりだ。配備計画そのものの是非も含めて原点に立ち返って議論をやり直すべきだ。それ以外に住民の理解を得る方法はないと思われる。