子どもが1人で訪れて、無料や低額で食事できるという「子ども食堂」が、全国に3700カ所まで増えていることが明らかになった。「子どもの貧困対策」として始まったが、「地域の交流拠点」として広がりつつある。

 子ども食堂は2012年ごろ、東京で始まったといわれる。低所得やひとり親の子どもらに、地域の施設で温かい食事を提供しようとする取り組みが、ボランティアなどを中心に草の根的に広がった。公的な定義はなく、開催頻度、料金、対象などは運営する側がそれぞれ決めている。

 NPO法人全国こども食堂支援センター・むすびえと、全国のこども食堂地域ネットワークの共同調査によると、全国でことし5月までに、少なくとも3718カ所となった。昨年より1432カ所増加しているという。

 東北では、宮城が78カ所と最も多く、福島が前年の13カ所から3倍超の41カ所、青森が倍の16カ所となった。一方、秋田は11カ所で前年と変わらず、全国最低水準だった。

 「むすびえ」の湯浅誠理事長(東大特任教授)によると、現在の子ども食堂については誤解があるという。貧しい家庭の子どもだけが対象なら、ゼロが理想ということになる。開設しようとして、地域の自治会長や小学校長に「うちの地区には、そういう貧しい子どもはいない」と言われた例もあるそうだ。

 実際の運営状況をみると、埼玉県の調査では、県内の子ども食堂の8割ほどが困窮世帯の子どもに限定せず、約7割は年齢制限はなく大人の利用も可能だという。

 「孤食」を強いられる子どもは、困窮だけが原因ではない。高齢者にも孤食はある。

 大勢で食事をし、子ども同士で、あるいは大人と触れ合う。遊びや学習支援なども含め、家庭でも学校でもない居場所となる。大人も運営を含めた交流から、つながりを築き、地域課題の克服を目指す。

 子ども食堂は、多世代型地域コミュニティーの拠点づくりという意味を持って、広がっていると言えそうだ。

 政府は自治体向けに、実態調査や子ども食堂のコーディネーター育成、ネットワーク設立支援などの交付金制度を設けており、仙台市や石巻市など、地方自治体による支援の動きも出ている。

 食品ロス対策とも絡み、「フードバンク」などの取り組みから、企業側が食材提供にかかわる例も増えている。

 湯浅さんは「全ての子どもがアクセスできる場所として、各小学校区単位に一つはつくりたい」として、2万カ所を目標と考えている。

 費用や人員、食材調達など、個々の運営課題は多い。食を扱うだけに、安全確保も欠かせない。一層の拡大に向けては、地域の実情に合わせて進める市民主導の取り組みを行政や企業が後押しするような体制づくりが望まれる。