21日投開票の参院選宮城選挙区で、仙台市若林区選管が候補者の票を取り違えるミスを起こし、全国で最も遅く得票が確定する事態となった。 同市選管は2014年の衆院選以降、国政など全ての選挙で不手際を重ねている。その衆院選では、青葉区選管が計算の合わなかった確定投票者数と投票総数のつじつまを合わせるため、約1000票を白票として水増しした。汚点として市民の記憶に残る。

 憤りを超え、あきれ返ったとの声に対し、市選管は「初歩的な間違いで申し訳ない。二重チェックを徹底させる」と繰り返す。

 ミスの連鎖を断つには、手引書の徹底で済まされず、実務に通じた人材の育成や意識改革、人員配置など組織体制まで掘り下げないと難しいだろう。出直しに向けて大なたを振るう時ではないか。

 若林区のミスは、自民党現職の愛知治郎氏の222票を、当選した立憲民主党新人の石垣のり子氏の分に記載していたもの。全国指折りの激戦区で票の入れ違いとは、思わずどきりとする。

 青葉区の水増し事件を受け、市選管の第三者委員会は「選挙事務は市職員の本来職務と認識する」との提言書をまとめた。だが、今回も教訓として生かされなかった。

 まず、業務に精通した人を備えていないことが挙げられよう。各区役所の総務課長は充て職で区選管の選挙課長を、他の課長は管理課長などを兼ねる。必ずしも詳しい人がなるわけではない。

 他方で、投開票所には各部局から職員がたくさん派遣される。何となくお手伝い感覚、業務への帰属意識は薄く、本業ほどに身が入らないと聞く。専門家は「兼任者が頑張っても、職員が本気にならなくては機能しない」と話す。 身分のあいまいさ、責任の所在がはっきりしない点に遠因がありそうだ。賞罰の適用を含め、大胆な運用見直しを考えてもいいのではないか。 小さな市町村には「目利き」と呼ばれるベテランがいて頼られる。大都市ほどノウハウの伝承は途切れてしまう。これはという人材をリストアップしておき、実地研修を重ねて習熟度を上げ、要所に配置してはどうか。

 近年の事情をみると、投票時間の繰り下げ、確定時間の迅速化、期日前投票の対応と職員の負担が過大になっている。若林区のミスも朝6時ごろに発生している。

 昼夜を分かたず緊張感を持続するのはつらい。途中でスタッフを入れ替えるシフトにして、うっかりしそうな時間帯に活を入れる手もあろう。 現場の意識が低いままでは絵に描いた餅となる。古い話ながら、大正期の普通選挙実現運動など闘いの末、今の一票の権利は勝ち取られた。

 選挙は民主主義の根幹である。そこでのミスは、よくある行政事務の誤りとは根っこから違うと心すべきである。