政権批判票の受け皿にはなり得たものの、政権交代の熱気につながるような爆発力には程遠かった。

 参院選で32あった改選1人区で、野党5党派が「安倍1強」に挑んだ共闘の結果は10勝22敗だった。3年前の11勝には届かなかった。

 それでも、序盤から激戦となった東北6選挙区は、野党統一候補が岩手、宮城、秋田、山形で議席を獲得。4勝2敗で勝ち越した。

 秋田のように地上配備型迎撃システム「イージス・アショア」の導入計画が争点となる地域特有の課題はあったが、共通したのは自民党現職の継続か、野党系新人への刷新かの選択だった。

 初当選した4人のうち1人は立憲民主党公認で、ほかは全て無所属だった。支援態勢が整えば巨大与党に対抗できることを示した。共闘の成果と言えるだろう。

 次は政権選択を問う衆院選が控える。今回の成果をどう生かし、どんな旗印を掲げるかが問われる。

 参院選で野党5党派は、民間の「市民連合」が提案した憲法9条改正反対や消費税の10%への引き上げ反対など13の共通政策で一致した。ただ、明確な争点をアピールできたとは言い難い。勝利した選挙区は候補者の知名度を中心軸に、共闘の厚みが増していったように映る。

 大きな反省点を挙げるとすれば、やはり基本政策の違いを棚上げしたまま論戦に臨んだことでははないか。

 中でも自衛隊を巡る論戦では立憲民主党など合憲とする主要政党と、違憲とする共産党と間の隔たりがあった。安倍首相が演説のたびに攻撃し、共闘の弱点が浮かび上がったのは否めない。

 こうした基本政策の違いを乗り越えることは、次期衆院選に向け不可欠だ。

 野党5党派は参院選前、衆院小選挙区の候補者調整を加速することで一致している。野党間の主導権を巡るコップの中の争いはもう見たくない。まずは野党第1党の立憲民主党がリードして協議の方向性を探るべきではないか。

 結成直後ながら参院選で2議席を獲得したれいわ新選組を巡っては、主要野党が共闘を模索する。れいわは「消費税廃止」「原発即時禁止」などを掲げており、ここでも政策面の調整は難航しそうだ。

 勝利を受け、安倍首相は改憲について「自民党案だけにとらわれず柔軟な議論を行う」と述べ、ギアを一段と上げた。自民党による国民民主党の一部議員への切り崩しが激化する可能性がある。

 安倍政権が野党共闘の分断を狙うのは、参院選で改憲の国会発議に必要な3分の2の議席に届かなかった焦りの裏返しとも言える。

 秋の臨時国会は、次期衆院選に向けた緒戦だ。野党が信託に値する政権構想を示せるプロローグになるのか。党首らの力量が試される。