中東ホルムズ海峡の安全を確保しイランの挑発行動を抑止するとして、トランプ米政権が有志連合の結成に向けて日本の参加を求めている。対するイランは米国に同調しないよう各国に要請するなど有志連合に対する警戒感を強めている。

 伝統的に友好関係にあるイラン、同盟国への応分の負担を要求する米国。日本は板挟みの形となり、難しい対応を迫られた。緊張緩和を促す日本の外交努力が重要なのは言うまでもないが、その上で多様な選択肢を注意深く検討する必要があるだろう。

 ホルムズ海峡は原油供給の生命線であり、ここでの民間船舶の安全な航行は、輸入国にとって避けて通れない重要課題だ。ただ、現段階ではまだ危険が切迫した状況とは言えない。米側は7月末までの態度表明を要求したというが、時間をかけて参加の是非を議論するべきだ。

 有志連合構想について米国は各国に参加を促す一方、結成には「望んでいたよりも時間がかかるだろう」(ポンぺオ国務長官)との見通しを示している。緩やかな枠組みである有志連合は、役割分担などの調整に時間を要するのは織り込み済みである。

 仮に日本が参加するとすれば、派遣の法的な根拠が問題となる。自衛隊法に基づく海上警備行動、海賊対処法、安全保障関連法による集団的自衛権の行使などが挙げられているが、どれを採るにしても法的な制約は残る。

 イランは「参加を敵対行為とみなす」としており、関係悪化は日本にとって得策ではない。一方、トランプ大統領は日米安保体制への不満を繰り返し指摘し、こうした中で日本が参加を拒否するのは現実には難しい。

 ただし、有志連合の構想自体が練り上げられたものではなく、揺れ動いている。参加国の任務は監視にとどめ、必要な艦船や航空機の派遣や単なる資金拠出も検討され始めた。これならば両国と関係を悪化させずに参加する選択肢の幅は広がる。

 参加でも不参加でもない選択肢に、単独で日本の船舶を警護する方法があり、これも十分考慮に値しよう。例えば英国は米主導の有志連合とは一線を画し、英海軍が同海峡を通過する自国の民間船舶を警護するとしている。

 現在、ソマリア沖では海上自衛隊が海賊対処行動を2009年から継続中だ。航空隊が監視飛行を行い、不審船を発見すると各国に情報を提供している。これはあくまで海賊対処法による行動だが、同様の方法での民間船舶の警護は可能ではないか。

 有志連合構想に対しては今のところ各国の支持は集まっていない上、計画の詳細が全く見えていない。しかし米側からの負担要求が強まるのは十分に予想される以上、あらゆる選択肢を考慮に入れ準備しておく必要がある。