東日本大震災が起きてからしばらくして、被災地にコンビニエンスストアの灯がともった。住民や復興工事にいそしむ作業員は、つかの間の安息の時を過ごした。

 そのコンビニが転機を迎えている。24時間営業や街中のどこにでもある利便性で定着したものの、人手不足、増え過ぎた店舗数によって成長モデルが崩れ始めた。

 最大手セブン-イレブン・ジャパンなど本部各社は、国の要請を受けて対応策を打ち出した。しかし、苦境にあるフランチャイズ加盟店の救済までには至っていない。

 消費者の意識は多様化し、生活スタイルも変容している。深夜営業の見直しなど、オーナー(店主)の労働環境に配慮した経営方式への転換が急がれる。

 本部と店の契約では、店主は売上高から仕入れ原価を差し引いた粗利益に応じてロイヤルティー(加盟店料)を本部に支払う。24時間営業で売り上げが伸びれば本部の収入も増す。

 急成長によって全国で5万5000店がひしめく傍ら、深刻な人手不足に見舞われている。今年2月、大阪府東大阪市の店主が人手不足を理由に営業時間を短縮し、本部と対立したのをきっかけに問題は広がりを見せた。

 コンビニで働くアルバイトの時給は、最低賃金の引き上げもあってぐんぐんと上昇した。人件費は契約に沿って店主にのしかかり、競合店の出店もあって収益は頭打ち。人を雇えず、家族でくたくたになるまで働く店もある。

 経済産業省のアンケートによると、6割が人手不足を訴え、4割は「現在の加盟方式に満足していない」と答えている。同省は4月、各社トップに行動計画の策定を要請、国が乗り出す事態となった。

 各社はそろって是正策を発表した。営業時間短縮の実験店を増やすことや、省人化するセルフレジの導入が主な柱だった。

 時短を認めたことに一定の評価を下せるとはいえ、小手先で抜本改革から程遠いというのが大方の受け止め方だった。成功の必勝法を崩したくないのが本音なのだろう。

 コンビニを支えているのは物品配送網とされる。1台のトラックが商品を積んで深夜や朝早く、次々と店を回る。効率よく運び込めれば運送コストは下がり、理想に近い。

 エリアに終日営業をやめる店が増えると、配送ルートの変更、新たな運転手の確保が求められ、コストはかさむ。

 現状を変えるのは容易でないが、人手不足はそうたやすく解消せず、店主の高齢化も進んでいく。本部と店の関係を良好に保つためにも、人件費負担を軽くすることや加盟店料の減額など時代に合った対応があっていい。

 被災地のみならず、店の明かりは安心感を抱かせる。地域に永く定着できるよう知恵を絞ってもらいたい。