河野太郎外相は21日、北京で中国の王毅外相、韓国の康京和外相との3カ国会談に臨み、北朝鮮の非核化実現に向けた協力について協議する。個別会談も行う予定で、日韓会談では対立の原因となっている元徴用工訴訟問題や双方の輸出規制強化に関して意見を交わす。

 米中貿易戦争の余波で中国との貿易額が多い韓国経済は失速し、日本の輸出規制の厳格化で今後さらなる悪化も予想される。文在寅大統領が先日の演説で日本批判のトーンを弱めたのも、こうした韓国経済の苦境が背景にあるためだとみられる。

 戦後最悪といわれる日韓関係の改善に向けては、まずは問題の発端となった元徴用工判決で韓国側が前向きな解決策を示さなければ、話が先に進まない。ボタンの掛け違えは最初のボタンから直さなければならない。あすの会談では韓国側が何らかの対応策を示すべきだろう。

 韓国側は6月、両国の企業が賠償相当額を出資する方式を提案しているが、とても受け入れられる内容ではない。すでに日本企業の韓国内の資産は差し押さえられ、資産売却の手続きが進行中だ。できるだけ早く、日韓双方が納得できる何らかの妥協策をまとめたい。

 韓国の景況悪化の原因は大きく二つある。一つは文政権の政策の失敗だ。経済状況に十分な配慮をしないまま、公約だった最低賃金の大幅な引き上げと労働時間の短縮を行い、その負担に耐えきれない企業が増加し、かえって失業者を増やした。

 もう一つは韓国経済が対中貿易に依存している構造的な問題による。米中貿易戦争で減速傾向が鮮明となった中国経済の余波を受けて、内需の弱い韓国が連鎖的に打撃を受けた。このまま日韓関係の悪化が続けば、経済の不振はより深刻化しよう。

 輸出規制を巡る問題は比較的解決が容易ではないか。7月に日本が半導体材料の輸出規制を強化し、今月2日には優遇対象国から除外する政令改正を閣議決定している。元徴用工問題への対抗措置の狙いがあるが、論理的には安全保障上の問題だと日本政府は主張している。

 韓国側の対応は不正な輸出がなかった事実を明らかにするか、防止策の徹底を説明することに尽きる。核兵器の開発に使用される半導体の材料が第三国を経由して北朝鮮に流れているという疑惑が持たれている以上、韓国側の説明責任は免れまい。

 韓国政府は、日韓の軍事情報包括保護協定(GSOMIA)に関し、日本が輸出規制を続けるなら破棄するとの意向を示している。更新するか破棄するかの判断期限は24日に迫っている。元徴用工問題や輸出規制が安全保障上の協力関係の破綻にまで進むような事態だけは、どうしても避けなければならない。