自ら命を絶つ子どもが後を絶たない。いかにSOSを見逃さず、救いの手を差し伸べるのか。対策や体制の強化は喫緊の課題だろう。

 2019年版自殺対策白書によると、18年に自殺した10代は前年より32人増えて599人。人口10万人当たりの「自殺死亡率」は2.8人で、統計を取り始めた1978年以降で最悪となった。

 全世代の自殺者総数は前年より481人少ない2万840人と9年連続で減少する中で、未成年の自殺は歯止めがかからない。見過ごせない深刻な状況と言っていい。

 日本では10代、20代、30代とも自殺が死因順位の1位となっている。白書は「国際的にも15~34歳の死因順位の1位が自殺となっているのは主要7カ国(G7)の中で日本だけ」と指摘し、若い世代の自殺に警鐘を鳴らす。

 白書によると、10代の自殺で特定できた原因・動機のうち、「学校問題」が最多を占め、「健康問題」「家庭問題」と続く。学校問題の内訳では学業不振や進路の悩みなどが上位に並んだ。

 ただし、10代前半の自殺については、他の世代と比べて原因・動機が分かるものを残していないケースが多い。周囲の人は突発的で予兆がなかったという印象を持つ。

 見えにくいSOSを受け止める仕組みづくりは今後の課題だろう。併せて、10代が自殺に至る背景や実態のより詳しい把握、検証も不可欠だ。その上で若い命を救う対策を練らねばなるまい。

 子どもの自殺といえば、いじめの有無に焦点が当てられがちだが、白書は「比率としては上位ではない」という。遺書などの裏付けがなく、いじめが原因・動機に含まれなかったケースもあるとみられる。いじめへの早い段階での適切な対応が重要なことは言うまでもない。

 政府は昨年、若い世代向けの対策として、民間団体と連携して会員制交流サイト(SNS)を活用した相談事業を始めた。今年3月までに相談件数は約2万3000件に上り、未成年は44%を占めた。

 SNSによる相談は、対面や電話では相談しにくい人の受け皿になったのだろう。こうした相談窓口の充実は自殺抑止の一歩となる。ただ、SNSは相談の入り口にすぎない。地域の保健、医療、福祉などの関係機関や専門家の支援につなげる必要がある。

 一方で、自殺の危機にある子どもは助けを求める方法が分からず、相談窓口も知らない場合が多い。SOSの出し方、相談窓口を学校で教える必要があるのではないか。相談を受ける担い手の育成、支援機関との連携などの取り組みも急ぎたい。

 夏休みが終わる8月末から9月初旬にかけては、子どもの自殺が例年多発する。学校任せでは限界がある。家族や地域を含め、子どものSOSに敏感でありたい。